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2012.02.26 為替感応度
円相場が急落している。24日のNY市場で、
1ドル = 81円15~25銭
1ユーロ=109円15~25銭
と、前日比、対ドルで1円20銭、対ユーロで2円25銭も一気に円安になったわけである。

そこで為替感応度(1円の為替相場変動による年間の営業利益変動額)が注目される。しかし、想定為替レートを公表している企業というのは、実はごく一部で(ドルで95社=日経2月23日朝刊)、われわれ投資家は、自分の投資している企業はどうなのか?と、困ることになる。
かくいう私も、そのうちの1人のわけで、長く、あれこれ考えて来続けたわけだが、ついに、今、各企業の為替感応度を簡単に調べることができる夢のような方法を発見した。

あまり複雑系の頭脳構造はしていないので、これも分かってみれば、なあんだということになりそうだ(私の発見、分析は大体がこの手のものなだ)が、こういう発想ができることが・・・・
いやいや、自慢はやめよう。ただ、コロンブスの卵的なことではあるが、なかなか素晴らしい、有用な手法であると思うので、熟読されたい。

[個別企業の為替感応度を自分で算出する法]
日経2月23日朝刊3面に主力企業の為替感応度が出ている。
シチズンの場合、想定レートは1ドル75円、1ユーロ100円、為替感応度は、ドルが4億円、ユーロが0、5億円だという。

私が、考案した手法を、シチズンを例に、次に説明しよう。

シチズンの年間売上高は、前期、約2850億円。このうち輸出分は62%だから約1767億円。
為替レートが1ドル75円から76円に1円円安となった場合、輸出の売り上げ1767億円は
1767÷75×76=1790 で、23億円増加することになる。
ただし、これはユーロも同じ比率でユーロ高・円安になったと仮定してのものであることをお断りしておく。

一方、シチズンの年間営業利益は、ドル分で4億円、ユーロ分で0.5億円(実際は1ユーロ100円が101円になった場合)で計4,5億円増加するという。
先ほどの計算で売り上げが23億円増加、つまりシチズンの手取り収入が23億円増加しているのに、現実の営業利益増加額は4,5億円、この差は何か。一つはもちろん、ドル、ユーロ建て以外の輸出、つまりアジア向けの輸出、円建ての輸出、その他、私の予見できない要因等のためであろう。しかし、それは大した問題ではない。重要なのは為替変動による、手取り増加額23億円に対し、実際の営業利益増加額は4.5億円、つまり約20%という事実である。

では、他の企業ではどうか。
ダイキンで計算すると、13%弱、ホンダで16.5%、TDKで20%強(TDKの場合ユーロへの感応度がゼロなので、「ただし、これはユーロも同じ比率でユーロ高・円安になったと仮定してのものであることをお断りしておく。」というような問題も生じない)だった。

為替変動による輸出額の手取り金額増加額の13%から20%、営業利益が増加するという、やや乱暴ではあるが、仮説が得られたわけである。
ダイキンのみ13%弱と低い理由を考えてみた。これは恐らく、中国などのアジアやブラジルなどの南米向けの売り上げ比率が高いからであろう。
とすると、こうした欧米向け輸出の比率がさほど多くなくアジア向け輸出がかなりの比率を占めるような企業でない場合、18%~20%とみて大過ないのではなかろうか。一応、ダイキンを除いた3社の平均≒19%を、暫定的結論としておこう。

多少緻密さに欠けるのが気にならないではないが、株式投資に使うツールとしては、問題ないであろう。
私の現在の狙いは、この手法を使ってヤマダコーポレーション(推)の利益が、どれだけ増加するかを算出することである。
この結果については、いずれ別稿で。読者の方も興味のある方は、ご自身でどうぞ。

2月26日 0時08分記
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