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2011.11.19 利休鼠
雨が降っている。
うちの猫が外へ出せと、脅したり甘えたりと、しきりに寄ってくるが、無視。もう、一度、うっかり脱走されて(「猫穴」の封印を忘れていたのである)ずぶぬれになって帰ってきて難渋したのである。

雨で、ふと思ったのが「利休鼠」、北原白秋の「城ヶ島の雨」に出てくるあれである。

雨はふるふる 城ヶ島の磯に
利休鼠の 雨がふる

「利休鼠」とは、どんな色か?
昔、インターネットなどない時代、どういう色かはっきりしないとか書かれているのを読んで、ちょっと驚いたことがある。そんななぞに満ちた言葉、色が、現代に残っているのかと。
今日、ネットで検索してみた。
なんと、いとも簡単に、自信満々の説明があふれているではないか。カラーで実際の色さえ見られる。それはそれで、便利な時代になったものよ、でいいのだが、看過できなかったのがWikipediaの以下の記述である。

利休鼠(りきゅうねず)は緑色がかった灰色。(りきゅうねずみと読むのは誤り。)

江戸時代後期の「四十八茶百鼠」と呼ばれる流行色の一つで、織田信長や豊臣秀吉の茶頭であった安土桃山時代の堺の商人千利休とは関係が無い。

名の由来として「地味で控えめな色彩であることから、侘びた色として侘茶を大成させた利休を連想した。」「地味で品のある色合いから、利休好みの色と想像された。」「抹茶のような緑から利休を連想した。」などの説がある。

同じく歴史上の有名人の名を冠した流行色には「小町鼠」などがある。
(以上Wikipediaより)

「千利休とは関係がない」と書きながら、後段の記述は一体どうなってるのだろう。

それ以上に驚かされたのは「りきゅうねずみと読むのは誤り」という記述だ。
えっと思い辞書を調べるが、全て「りきゅうねずみ」である。染料業界では「りきゅうねず」というらしい(ネットの見出し)。(注=考えてみれば「ねずみ色」のことを略して「ねず」と言うことがある。戦前の匂いのするような言葉である。明治生まれの人が言っていたのを、今思い出した)

Wikipediaは便利だが、信頼性にかけることおびただしい。ただほど高いものはないということか。
そういえば、かなり前、野口悠紀雄氏が、自分の経歴をWikipediaで調べたら、事実でないとんでもないことが書いてあったと怒っておられた。そういうエリートコースから外れたポスト(これは私のうろ覚え的解釈。要するにあんまり冴えない部署と野口氏は考えているポスト)には行っていないと怒っておられたのである。こういう怒り方、その露骨な書き方にもまた絶句したが。

なんにしろ言葉というのは、長い歴史を有するのであり、簡単に「間違い」などと断定することは、よほど慎重にすべきだろう。

以前「荒らげる」について書いたことがある。私が「あらげる」とばかり思っていたのに、実は「あららげる」が伝統的正統な読みであったということである。しかし、それを書いてあまり時が経たず、文化庁が、「あらげる」は間違いで、何%の人が正しく覚えているかという調査(「国語に関する世論調査])をして結果を発表しているのを知り、唖然とした。本来はこうだが慣用としてはこうも言うとか、その判別は難しいものがあるのではないか。
 

「憧憬」を、皆さんはどう読むだろうか。
[どうけい」と読む人のほうが多いと推察する(少なくとも団塊の世代は)が、普通、辞書は「正しくは」「しょうけい」といった記述をしている。「どうけい」については「誤り」とするもの、「慣用読み」とするもの、→「しょうけい」として判断しないものとさまざまである。

11月19日 20時20分記

追記=白秋は隣家に住む虐待されていた人妻松下俊子と、同情から恋愛関係になり、夫から姦通罪で訴えられ、1912年(明治45)市ヶ谷の未決監に身柄を拘束される。その後釈放になるが、結局松下俊子は夫と別れて白秋と結婚する。三浦三崎で二人の新生活が始まり、その家のすぐそばに城ヶ島があり、毎日見ていたという。

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