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3.27日に公示地価(2018年1月1日時点)が発表になった。全国の公示地価の全用途平均は3年連続で上昇となった。また昨年7月3日には路線価が発表されている。全国トップは32年連続で東京都中央区の銀座中央通りで、1㎡当たり4032万円で、バブル期の3650万円(1992年)を上回って初めて4000万円を超え、25年ぶりに最高額を更新した。

東証1部の時価総額も2017年度末(2018年3月30日終値で算出)647兆円となり、年度末としての史上最高を更新した。

こういうニュースを聞いて、何か違和感を感じないだろうか。
感じないという方は、やや問題がある(と言うか問題を感じて欲しいわけである)。

まず簡単な方の東証1部の時価総額について書こう。
これについてはすでに数年前、高名な経済学者が、東証1部の時価総額はバブル期の史上最高時を超えた趣旨の発言をテレビでされ、私は違和感を覚えたことを思い出した。
日経平均のバブル期につけた3万8915.87円という史上最高値に対し現在2万1454.30円である。それなのに、時価総額は史上最高水準にある。理由は言うまでもない。上場企業数が激増したからである。
日経新聞は「バブル経済期末のピークを1割近く上回った。」とし、「時価総額の拡大を引っ張ったのは半導体やFA分野で販売が伸びている企業だ。」と解説する。
上場企業数については一言も触れていない。しかし、手元の資料(1989年末頃の四季報が探し出せなかった)では
1990年01.30日現在1191社
2018年03.16日現在2073社
要するに、実態としては株価は大きく下げたままで時価総額は急減するはずなのだが、一昔前なら、絶対東証1部になど上場させてもらえなかったような企業もバンバン昇格させ、上場企業数を1.7倍にまで増やしたため、かくなる珍妙な現象が起きているわけである(一方NY市場は逆に上場企業数が減少、現在では東証の方が多くなったと記憶する)。
それなのに、知ってか知らずか、これに言及するマスコミ等は皆無なのは困ったものである。

次に都心一等地の地価がバブル期を超えたという話について。
私は昨年7月にこの話を聞いたとき、えっと驚いた。にわかには信じられなかったからである。続いて、今回、公示地価上昇のニュースでも同様なことが語られたのを機に、昨年7月来抱いてきた違和感を考えてみた。
そして、違和感の生じる原因を解明できたので、これを書いているわけである。

よく例に出す東京都渋谷区にあるマンション、広尾ガーデンヒルズの価格はピーク時(バブル期)で1㎡当たり1000万円を超えていた。細かいデータを今持ち合わせていないので、記憶で書くので、やや大雑把なのはお許し願う。
向き、所在階、建築年等でかなり違いはあったはずだが、それでもほとんどの住戸が1㎡1000万円越え、つまり100㎡10億円以上したことを、私は鮮明に思い出す。広い住戸ほど㎡単価が高かった。
では今広尾ガーデンヒルズは100㎡いくらだろうか。
ピーク時の築年数に換算して、大雑把に言うと2億円~せいぜい2.2億円だろう。
つまりピーク時10億円強→2億円強
と5分の1にまで劇落しているのである。
これが私が抱いた違和感の原因である。

では、路線価など、地価はピーク時を超えたのに、都心の一等地のマンション価格はピーク時から、なぜかくも下落しているのだろうか?
これについても、だれも解説しない。
というより、こういう疑問を抱いている人がそもそもほとんどいないわけだろうが。
私は、この原因(少なくともその有力な一つの原因)として、小泉政権以降、強力に推し進められた規制緩和で、大都市圏では容積率も大幅に緩和され、40階以上の超高層マンションが次から次へと建設されるようになったことがあると考えている。
これまでなら13階建てまでしか建てられなかった地域に50階建てが建設されるようになったのだから、地価は大きく上げてもマンション価格は比例して上がらないのは自明の理である。

それでも、これでだれもが得をしたのならいいが、そんなうまい話があるはずがない。
タワマンはブラックホールのような負の面を持つ。
タワマン林立の都心中の都心、あるいは武蔵小杉(神奈川県川崎市)に人々が吸い寄せられ、一方、都心通勤等でハンデのある郊外の地価は下落するという現象が起きているわけである。
日経新聞には「地方圏の上昇 顕著に」という大見出しが躍るが、これも誤解を招く見出しである。
バブル崩壊後、地方では地価はほとんど一度も上げていないと言っていいくらいなのが実情である。
今回、地方の地価が全体としてプラスになったのは商業地がそこそこ上げたためであり、住宅地はなお下落している。要するに駅前などの一等地が、再開発や容積率緩和でピンポイントで上げているだけで、人が住むところはこの30年くらい、ほぼ毎年じわじわと下落を続けているわけである。
この実態をよく知らないと、人生設計を誤りかねないので、あえて取り上げたわけである。
私の住む鎌倉の住宅地も昨年はわずかに上げたらしいが今年の公示地価は再び下落に転じたと、神奈川新聞が報じている。
東京でも郊外は全く値上がりしていない。知り合いに、大昔、八王子市のめじろ台に家を建てた方がいるが、めじろ台の公示地価は今回、横ばいである。調べると八王子市には下落地点もある。国分寺や立川なんぞに駅前タワーマンションができるのだから、その先のめじろ台に新たに家を買おうという方は激減したはずである。

2015年1.10日付けの当ブログで、豊島区の消滅リスク(日本創生会議・人口減少問題検討分科会 提言)について批判した。若年人口の減少率が高いからといって豊島区に消滅のリスクなどはない、人口移動を考慮しないかのような論は論外だと考えたからである。これを裏付けるような統計数字も出されている。
3.30日発表のもので、国の研究所が発表したのである。
2045年には、東京以外のすべての地域で人口が減少するという。ついこの間までは沖縄が最も元気な地域で、沖縄と東京だけはかなり先まで人口増と言っていたのではないか。ほんとかいなと思っていたのだが、やはり今回沖縄は脱落した。

地方の村・町が次々と消滅、そこで維持されてきた貴重な文化(芸能、建築物、方言、料理等々)も失われていく。地方の高齢化、急激な人口減の行き着く先はそういうことである。
早く、こうしたことに歯止めをかける施策が必要である。
タワマンの建設規制も含め、行政は問題を強く意識し、対策を立てなくてはならない。

そもそも、武蔵小杉(川崎市)のように、交通が便利になった、これは売れる、税収が増えると、官民一体になって、容積率緩和・超高層マンション建設に突っ走るでは、景観問題も生じる、待機児童も大量発生、周辺自治体、というより、もっと広範囲の自治体で人口が流出するということになる。これを野放しにしていいのかである。

例えば、鎌倉市で考えてみよう。
人口減にストップをかけ、税収アップを狙って大船駅直結の巨大タワーマンションを建設することを決定したとしよう。大船・東京間は45分程度、大船品川間でも33分程度はかかり、駅から10分程度のマンションは、あまり人気がない。しかし駅直結なら国分寺(シティタワー国分寺ザ・ツイン)や立川(サザンスカイタワーレジデンス)の例を持ち出すまでもなく、人気になる。
100階建て(日本最高層)ツインタワー、総戸数4000戸、世界最大規模、何から何までそろったメガマンション
を売り出すのである。
しかし、こんなことが許されるだろうか。
とは言え、一昔前、越後湯沢には、それに近いことが起きたわけであり、今、武蔵小杉やニセコ(北海道倶知安町)で進行しているのも同様である。
都市計画が全くなかったり、あってもかなり緩いというのが、日本の抱える問題である。50年、100年、あるいはそれ以上先を見据えた都市計画を都市部のみならず、地方圏でも早急に立てるべき時期なのである。

3月31日 20時35分記
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