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2017.01.21
夕顔、ユウガオ、ゆうごう
「美の巨人たち」(TV東京22時~22時30分)を見ていて、気になったことがあり、これを書いている。
与謝蕪村 久隅守景 国宝「夜色楼台図」「夕顔棚納涼図屏風」
という題であった。
「夕顔棚納涼図屏風」の絵をバックに、いろいろ語られるが、夕顔が何か分かり難いまま、話は「夜色楼台図」に移る。しばらくして、また「夕顔棚納涼図屏風」に戻り、「言う迄もなく夕顔はひょうたんのことですが」というナレーション。ここでは前とは違って絵もアップされ、棚にひょうたんがなっているのが分かる。
しかし、「夕顔」と言って「ひょうたん」のことと思う人などほとんどいないだろう。自分自身、知らないくせに、何が「言うまでもなく」だと毒づきたくもなる。
「夕顔」、「ユウガオ」という言葉は、誤解されやすい、分かり難い言葉である。
話が少し飛ぶが「さくらんぼ」と「桜桃」の紛らわしさを思い起こす。
私の場合、「さくらんぼ」と言えば「桜の実」のことであり、「佐藤錦」などは「桜桃」と言って区別する。しかし、今や、世は「さくらんぼ」=「桜桃」であり、と言うか「桜桃」は死語に近く、わずかに太宰治の忌日「桜桃忌」に残るばかりなくらいである。
さらに話は飛ぶが、数年前、知人と話していたら、子供の頃、よく食べたことを思い出して「さくらんぼ」(もちろん桜の実の方)を最近食べたら、まずくてと話される。実は私も同じ経験があり「うまいものがいっぱい出回って口がおごってしまったんだろうなあ」ということになった。
しかし、その後、よく考えたら、別の結論になった。
最近私が食べた「さくらんぼ」はソメイヨシノの実である。しかし子どもの頃食べたのは、自宅に生えていた八重桜の実である。さらに思い起こせば、その実はソメイヨシノのそれとは比べ物にならないくらい大きかった。いずれにせよ、昔食べた「さくらんぼ」は、確かにおいしかったと、今確信を持って言えるのである。小学生の私は桜の木に登り、黒紫に色づいたそれなりに大きく立派な実を葉っぱの間から取って食べたものである。毎年の楽しみな行事でさえあったのである。ソメイヨシノの実が無数と言っていいくらい生っていてごく小さいのとは大違いだと、今気付いた。
本題に戻って「夕顔」である。
今「夕顔」と言えば、普通、「朝顔」に対する「夕顔」、すなわち「ヨルガオの別名」などと、辞書などで説明されるもののことだろう。
そしてややこしいことに、「ウリ科のつる性1年草」の「夕顔」もあって、これは野菜で、かんぴょうにされたり、みそ汁の具にしたりする。「ひょうたん(瓢箪)」は、「ウリ科のつる性1年草」の「夕顔」=ユウガオの変種だという。
このように複雑なうえ、今や「ひょうたん」なども、ほとんど見かけなくなったから、死語というのは変だが、これまた太宰治「桜桃忌」ではないが、志賀直哉の「清兵衛とひょうたん」でかろうじて生き延びているくらいだ(というのは少し言い過ぎで「瓢箪から駒が出る」なる慣用句は健在でした)。
注=ウィキペディアでは、ウリ科の一年草の「ユウガオ」の項で
>『源氏物語』をはじめ古くから説話や民間伝承にも登場するなど口承文芸のモチーフになっている(後略)としている。しかし源氏物語の「夕顔」(巻名・人物名)の由来は、同人が本帖の中で詠んだ和歌「心あてにそれかとぞ見る白露の光そへたる夕顔の花」にあり、夕顔=「朝顔」に対する「夕顔」、すなわち「ヨルガオの別名」のわけで、ウィキペディアは取り違えているのである。
さて私の田舎(新潟県長岡市)では、「ウリ科のつる性一年草」のかんぴょう材料のことを「夕顔」とか「ユウガオ」などとは言わない。「ゆうごう」と言うのである。しかし、辞書で「ゆうごう」と引いても「融合」しかない。方言なのかとはうすうす思ってはいたが・・・
念のためネットで検索してみた。そしたらあるはあるは。
ゆうごうレシピ・作り方の人気順|簡単料理の楽天レシピ
楽天が運営する楽天レシピ。ゆうごうのレシピ検索結果 67品、人気順。1番人気はゆう ごう(夕顔)の油炒め!定番レシピからアレンジ料理までいろいろな味付けや調理法を ランキング形式でご覧いただけます。
ゆうごう - 長岡野菜加工研究会
特徴: 大きいものは長さが70~80㎝にもなり、若い実を食べます。ゆうごうを細く切って 干すと、「かんぴょう」になります。 由来: インドやアフリカなどの熱帯地域原産の「ゆうが お」の実のことで、長岡弁がなまって「ゆうごう」となりました。
ゆうごう(ゆうがお) | 新潟・食品名産図鑑
ゆうごうは夕顔がなまった言い方で長岡野菜・柏崎野菜に指定されています。夕顔は 通常は細く切って干して干ぴょうの原料となりますが、中越や上越では野菜として若い実 で食しています。
積年の疑問が、これですっきりしたので、興味のない方も多かろうが、書いてしまった。お許しあれ。
1月21日 23時56分記
SJI(推)、PTS最終値 86△2
与謝蕪村 久隅守景 国宝「夜色楼台図」「夕顔棚納涼図屏風」
という題であった。
「夕顔棚納涼図屏風」の絵をバックに、いろいろ語られるが、夕顔が何か分かり難いまま、話は「夜色楼台図」に移る。しばらくして、また「夕顔棚納涼図屏風」に戻り、「言う迄もなく夕顔はひょうたんのことですが」というナレーション。ここでは前とは違って絵もアップされ、棚にひょうたんがなっているのが分かる。
しかし、「夕顔」と言って「ひょうたん」のことと思う人などほとんどいないだろう。自分自身、知らないくせに、何が「言うまでもなく」だと毒づきたくもなる。
「夕顔」、「ユウガオ」という言葉は、誤解されやすい、分かり難い言葉である。
話が少し飛ぶが「さくらんぼ」と「桜桃」の紛らわしさを思い起こす。
私の場合、「さくらんぼ」と言えば「桜の実」のことであり、「佐藤錦」などは「桜桃」と言って区別する。しかし、今や、世は「さくらんぼ」=「桜桃」であり、と言うか「桜桃」は死語に近く、わずかに太宰治の忌日「桜桃忌」に残るばかりなくらいである。
さらに話は飛ぶが、数年前、知人と話していたら、子供の頃、よく食べたことを思い出して「さくらんぼ」(もちろん桜の実の方)を最近食べたら、まずくてと話される。実は私も同じ経験があり「うまいものがいっぱい出回って口がおごってしまったんだろうなあ」ということになった。
しかし、その後、よく考えたら、別の結論になった。
最近私が食べた「さくらんぼ」はソメイヨシノの実である。しかし子どもの頃食べたのは、自宅に生えていた八重桜の実である。さらに思い起こせば、その実はソメイヨシノのそれとは比べ物にならないくらい大きかった。いずれにせよ、昔食べた「さくらんぼ」は、確かにおいしかったと、今確信を持って言えるのである。小学生の私は桜の木に登り、黒紫に色づいたそれなりに大きく立派な実を葉っぱの間から取って食べたものである。毎年の楽しみな行事でさえあったのである。ソメイヨシノの実が無数と言っていいくらい生っていてごく小さいのとは大違いだと、今気付いた。
本題に戻って「夕顔」である。
今「夕顔」と言えば、普通、「朝顔」に対する「夕顔」、すなわち「ヨルガオの別名」などと、辞書などで説明されるもののことだろう。
そしてややこしいことに、「ウリ科のつる性1年草」の「夕顔」もあって、これは野菜で、かんぴょうにされたり、みそ汁の具にしたりする。「ひょうたん(瓢箪)」は、「ウリ科のつる性1年草」の「夕顔」=ユウガオの変種だという。
このように複雑なうえ、今や「ひょうたん」なども、ほとんど見かけなくなったから、死語というのは変だが、これまた太宰治「桜桃忌」ではないが、志賀直哉の「清兵衛とひょうたん」でかろうじて生き延びているくらいだ(というのは少し言い過ぎで「瓢箪から駒が出る」なる慣用句は健在でした)。
注=ウィキペディアでは、ウリ科の一年草の「ユウガオ」の項で
>『源氏物語』をはじめ古くから説話や民間伝承にも登場するなど口承文芸のモチーフになっている(後略)としている。しかし源氏物語の「夕顔」(巻名・人物名)の由来は、同人が本帖の中で詠んだ和歌「心あてにそれかとぞ見る白露の光そへたる夕顔の花」にあり、夕顔=「朝顔」に対する「夕顔」、すなわち「ヨルガオの別名」のわけで、ウィキペディアは取り違えているのである。
さて私の田舎(新潟県長岡市)では、「ウリ科のつる性一年草」のかんぴょう材料のことを「夕顔」とか「ユウガオ」などとは言わない。「ゆうごう」と言うのである。しかし、辞書で「ゆうごう」と引いても「融合」しかない。方言なのかとはうすうす思ってはいたが・・・
念のためネットで検索してみた。そしたらあるはあるは。
ゆうごうレシピ・作り方の人気順|簡単料理の楽天レシピ
楽天が運営する楽天レシピ。ゆうごうのレシピ検索結果 67品、人気順。1番人気はゆう ごう(夕顔)の油炒め!定番レシピからアレンジ料理までいろいろな味付けや調理法を ランキング形式でご覧いただけます。
ゆうごう - 長岡野菜加工研究会
特徴: 大きいものは長さが70~80㎝にもなり、若い実を食べます。ゆうごうを細く切って 干すと、「かんぴょう」になります。 由来: インドやアフリカなどの熱帯地域原産の「ゆうが お」の実のことで、長岡弁がなまって「ゆうごう」となりました。
ゆうごう(ゆうがお) | 新潟・食品名産図鑑
ゆうごうは夕顔がなまった言い方で長岡野菜・柏崎野菜に指定されています。夕顔は 通常は細く切って干して干ぴょうの原料となりますが、中越や上越では野菜として若い実 で食しています。
積年の疑問が、これですっきりしたので、興味のない方も多かろうが、書いてしまった。お許しあれ。
1月21日 23時56分記
SJI(推)、PTS最終値 86△2
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