| Home |
2015.02.21
日本再生の秘策④ 津波避難マンション
日本再生の秘策として、私は以下の4つを挙げたわけだが、今回は最後の④津波避難マンションについてである。
①林業再生
②100年住宅(住宅の長寿命化)
③学校給食の完全米飯化
④津波避難マンション
最近津波避難タワー完成といったニュースをよく見る。各地に津波避難タワーが建設され、これが続々完成しており、あと1、2年で予定の物はほぼ完成するのではないだろうか。
しかし私は、この津波避難タワーに大きな懸念を持っている。
美観、耐久性、経済性といったこともあるが、それ以上に安全性に大いなる懸念を抱いているからである。
これに関し、以下の記事を見つけたので参考までに載せておく。
>津波被害が懸念される太平洋沿岸で整備が進む避難タワーの効果について、群馬大災害工学研究室(片田敏孝教授)が被害シミュレーションを行ったところ、避難タワーの設置で、かえって犠牲者数が増えるケースのあることが28日、分かった。特に標高の低い沿岸部にその特徴が顕著だといい、片田教授は「避難タワーは耐久性、高さともに安全性に限界があるが、住宅地に近いため誘導効果をもちやすい。想定以上の津波が来た場合、相当の犠牲者を生む危険性がある」と警告している。(2014年。6月28日付け)
私はこれにかなり近いことのことをもっと前から考えていた(後出しじゃんけんのように言ってもだめだが)。鎌倉の七里ヶ浜の海岸にはここは標高1mといった標識が設置されているところがある。ところが、これが日によっては水没しかかっていたりする。
考えてみれば、満潮とか大潮のときは海面は上昇する。さらに大波が来ればさらに高いところまで海水は来る。暴風ともなればさらにである。こうしたことを考慮すると、最低でも2m、できたら3mは余裕を見ておかないと安心できないだろう。
しかるに、避難タワーの避難スペースの高さは地上から通常6メートルから10m程度のものが多い。これでは、上記の3mを差し引くと3mから7mということになり、危うさを感じざるを得ないではないか。私だったら、避難タワーに行くのと、自分のいるところから高度の高いところへ移動するのと、どちらが安全かをまず考える。そして恐らく多くの場合、後者を選ぶだろう。さらに避難タワーは3階部分と4階部分が避難スペースというケースがかなりあると思うが、4階は助かったが3階はだめだったといったケースも起きそうだ。いずれにせよ、避難タワーは、場合によっては殺人タワーになる危険をはらむのである。
【津波避難マンション】
こうした経済性、美観等の問題点に加え安全性の面で致命的とさえ言っていいかもしれない危うさを内包する避難タワーはやめ、津波避難マンションを建設しようというのが、私の提言である。
この言葉で大体のことはお分かりいただけると思うが、簡単に説明を加えるとしよう。
津波に備え、行政が津波避難対策として津波避難用のマンションの建設を後押しすべしということである。これは自治体等が自ら建設に乗り出すのではなく(そういうものも例外的にあってもいいが)、民間のマンション業者、建設会社等が津波避難マンションを建設するのを、バックアップするのである。
強度、避難のしやすさ、避難用スペースの確保、所有者以外の人間の津波襲来時の避難といったことに関し、基準をクリアした物件に対しては、一定の優遇をして、建設を促進すればいい。
基準について具体的に言えば、緊急時にオートロックが解除されるようにしておくこと、避難階段をだれでも容易に利用できるような造り(たとえば建物の外側に設置)にすること、屋上は避難スペースとして整備すること等である。
優遇については、周辺住民の理解を得たうえで、容積率や高度制限を緩和するというのが、まず考えられる。この場合、自治体等は、金銭的負担はゼロで済む。固定資産税や不動産取得税などの軽減、あるいはマンション建設業者への補助金交付も考えられる。
いずれにせよ、これは金銭的負担がゼロか非常に小さい額でできる施策である。その上、津波避難ビルに比べ安全性は問題にならないくらい高い。しかも収容人員と言うか対応可能人員数で言えば、避難タワーなどとは比較にならない多人数となろう。10階建てマンションとしても避難に使える部分は3階くらいから屋上まであるのだから。
注=具体策は省略するが、緊急時には各住戸も協力してくれるであろうから、その住戸内、廊下(内廊下または外廊下)、ベランダも避難スペースにできよう。
湘南道路を平塚辺りで北上すると道路は湘南道路よりさらに低くなる。標高も5m程度しかない。大地震が起き津波発生ともなれば、車を捨て高台に逃げようとする人たちで大混乱に陥ることは必至と思われる。こういう場所の場合、多くの避難者を受け入れる施設の整備は喫緊の課題だ。しかし、行政は避難指定ビルの選定といった安易なことは比較的迅速にやるが、抜本的対策は取ろうとしない。そもそも湘南道路は海から2mから4m程度しかないところも多い。危険極まりないのだが、「それを言ったらお終い」とでも思っているのか、誰もこのことを言わない。
堤防かさ上げは美観の問題に加え、財政負担の巨大さもあって実現は厳しいだろう。となれば、切り札は、やはり津波避難マンションの建設ということになる。
なお、津波到達まで数分といったことが予想される地方の港町(1例を挙げれば南海トラフ巨大地震の被害想定で日本一高い津波高34・4メートルを突きつけられた 高知県黒潮町)も、かなりの数にのぼる。各地で地形、住民数等事情は大きく異なるから一概には言えないが、こうしたところでも、県や国の支援で津波避難マンションを建設するのも検討されていいだろう。
最後になってしまったが、この施策によって全国各地に津波避難マンションが建設されることになれば、(多少はゼロサム的な部分があろうが)、地方再生、経済活性化にもそれなりの好影響はあろう。
相場動向、新日本科学の「時価総額比で見たヘリオス株の含み」等については、明日書く予定です。
2月21日 23時18分記
①林業再生
②100年住宅(住宅の長寿命化)
③学校給食の完全米飯化
④津波避難マンション
最近津波避難タワー完成といったニュースをよく見る。各地に津波避難タワーが建設され、これが続々完成しており、あと1、2年で予定の物はほぼ完成するのではないだろうか。
しかし私は、この津波避難タワーに大きな懸念を持っている。
美観、耐久性、経済性といったこともあるが、それ以上に安全性に大いなる懸念を抱いているからである。
これに関し、以下の記事を見つけたので参考までに載せておく。
>津波被害が懸念される太平洋沿岸で整備が進む避難タワーの効果について、群馬大災害工学研究室(片田敏孝教授)が被害シミュレーションを行ったところ、避難タワーの設置で、かえって犠牲者数が増えるケースのあることが28日、分かった。特に標高の低い沿岸部にその特徴が顕著だといい、片田教授は「避難タワーは耐久性、高さともに安全性に限界があるが、住宅地に近いため誘導効果をもちやすい。想定以上の津波が来た場合、相当の犠牲者を生む危険性がある」と警告している。(2014年。6月28日付け)
私はこれにかなり近いことのことをもっと前から考えていた(後出しじゃんけんのように言ってもだめだが)。鎌倉の七里ヶ浜の海岸にはここは標高1mといった標識が設置されているところがある。ところが、これが日によっては水没しかかっていたりする。
考えてみれば、満潮とか大潮のときは海面は上昇する。さらに大波が来ればさらに高いところまで海水は来る。暴風ともなればさらにである。こうしたことを考慮すると、最低でも2m、できたら3mは余裕を見ておかないと安心できないだろう。
しかるに、避難タワーの避難スペースの高さは地上から通常6メートルから10m程度のものが多い。これでは、上記の3mを差し引くと3mから7mということになり、危うさを感じざるを得ないではないか。私だったら、避難タワーに行くのと、自分のいるところから高度の高いところへ移動するのと、どちらが安全かをまず考える。そして恐らく多くの場合、後者を選ぶだろう。さらに避難タワーは3階部分と4階部分が避難スペースというケースがかなりあると思うが、4階は助かったが3階はだめだったといったケースも起きそうだ。いずれにせよ、避難タワーは、場合によっては殺人タワーになる危険をはらむのである。
【津波避難マンション】
こうした経済性、美観等の問題点に加え安全性の面で致命的とさえ言っていいかもしれない危うさを内包する避難タワーはやめ、津波避難マンションを建設しようというのが、私の提言である。
この言葉で大体のことはお分かりいただけると思うが、簡単に説明を加えるとしよう。
津波に備え、行政が津波避難対策として津波避難用のマンションの建設を後押しすべしということである。これは自治体等が自ら建設に乗り出すのではなく(そういうものも例外的にあってもいいが)、民間のマンション業者、建設会社等が津波避難マンションを建設するのを、バックアップするのである。
強度、避難のしやすさ、避難用スペースの確保、所有者以外の人間の津波襲来時の避難といったことに関し、基準をクリアした物件に対しては、一定の優遇をして、建設を促進すればいい。
基準について具体的に言えば、緊急時にオートロックが解除されるようにしておくこと、避難階段をだれでも容易に利用できるような造り(たとえば建物の外側に設置)にすること、屋上は避難スペースとして整備すること等である。
優遇については、周辺住民の理解を得たうえで、容積率や高度制限を緩和するというのが、まず考えられる。この場合、自治体等は、金銭的負担はゼロで済む。固定資産税や不動産取得税などの軽減、あるいはマンション建設業者への補助金交付も考えられる。
いずれにせよ、これは金銭的負担がゼロか非常に小さい額でできる施策である。その上、津波避難ビルに比べ安全性は問題にならないくらい高い。しかも収容人員と言うか対応可能人員数で言えば、避難タワーなどとは比較にならない多人数となろう。10階建てマンションとしても避難に使える部分は3階くらいから屋上まであるのだから。
注=具体策は省略するが、緊急時には各住戸も協力してくれるであろうから、その住戸内、廊下(内廊下または外廊下)、ベランダも避難スペースにできよう。
湘南道路を平塚辺りで北上すると道路は湘南道路よりさらに低くなる。標高も5m程度しかない。大地震が起き津波発生ともなれば、車を捨て高台に逃げようとする人たちで大混乱に陥ることは必至と思われる。こういう場所の場合、多くの避難者を受け入れる施設の整備は喫緊の課題だ。しかし、行政は避難指定ビルの選定といった安易なことは比較的迅速にやるが、抜本的対策は取ろうとしない。そもそも湘南道路は海から2mから4m程度しかないところも多い。危険極まりないのだが、「それを言ったらお終い」とでも思っているのか、誰もこのことを言わない。
堤防かさ上げは美観の問題に加え、財政負担の巨大さもあって実現は厳しいだろう。となれば、切り札は、やはり津波避難マンションの建設ということになる。
なお、津波到達まで数分といったことが予想される地方の港町(1例を挙げれば南海トラフ巨大地震の被害想定で日本一高い津波高34・4メートルを突きつけられた 高知県黒潮町)も、かなりの数にのぼる。各地で地形、住民数等事情は大きく異なるから一概には言えないが、こうしたところでも、県や国の支援で津波避難マンションを建設するのも検討されていいだろう。
最後になってしまったが、この施策によって全国各地に津波避難マンションが建設されることになれば、(多少はゼロサム的な部分があろうが)、地方再生、経済活性化にもそれなりの好影響はあろう。
相場動向、新日本科学の「時価総額比で見たヘリオス株の含み」等については、明日書く予定です。
2月21日 23時18分記
| Home |