「日本再生の秘策」と題して、私は4つのことを挙げ、前回は①林業再生について書いた。
今回は
②100年住宅(住宅の長寿命化)について書いてみたい。

ご承知のように、日本では住宅は少し前までは20年から25年くらいで、最近でもせいぜい30年強で廃棄されるのが一般的である。これに対し、欧米各国の場合、60年から80年程度といったところが一般的だろう。
ざっと、日本の3倍くらい使うということである。もちろん、長く使うためには、年々の手入れにも、それなりにお金をかける必要があるから、その辺のことも考慮して、ここでは実質的に日本の住宅は欧米の半分の期間使うとしよう。
1軒の家の建設コストを2400万円としよう。

計算の簡便のため、日本では1代で家を1軒建設、欧米では2代で家1軒を建設としよう。
そうすると、日本では1人が生涯で家建設に2400万円を使うのに対し、欧米では同1200万円(家1軒の建設コストを同じと仮定)で済むということになる。
日本人の生涯賃金(手取り)を2億4000万円とすると、その1割が家の建設費用に消えるということである。
もし家の寿命が100年に延びたらどういうことになるか。これまた計算の簡便化のために、この100年が現在の住宅寿命の3倍だとしよう。そうすると、1人が生涯で家にかける費用が3分の1になる、つまり現在の2400万円に対し800万円で済むということである。1600万円も少なくなるわけだ。生涯賃金(手取り)の7%近い額である。いかに巨額か分かろう。

100年住宅というのは、単に家の耐久性向上という観点だけからなら、そう難しくないだろう。実際、私の生家は昭和6年の建築だからもう築84年になろうとしている。まだまだ20年、30年は使えそうだ。とは言え、使いにくいこともおびただしい。また寒かったり雪下ろしが大変だったり問題点は数多い。

耐久性だけでなく、使いやすさ、美観、維持・管理のしやすさ等々の問題もクリアしなくては、結局耐久限度が来る前に壊されるということにもなりかねない。

最近の建て売り住宅などの新築住宅を見ていると、日照・明かりをできるだけ取り込むため屋根の形等をおかしくしている、狭小宅地の欠点を補うため無理をした設計になっている、他との調和など考慮せず建築主の趣味で建てられている等々に、私などは辟易させられる。外壁・屋根なども素材・色等てんでんばらばらである。ために町並み全体としても醜悪で、悲しい気分にさせられることが少なくない(私の個人的感想だが)。

こうした家を40年、60年経ったとき見るとどうなるか。かつて一世を風靡したガルバリウム鋼板を多用した家は、今や工場建築のようで味気ないといったことになりかねないのではないか。
世界遺産になっているような住居群がいいとは限らないが、何十年の風雪に耐え、後世の人もいいな、ずっと残しておきたいなと思うような建築であることが重要であろう。

日本人は清潔好き・きれい好きと言うが、こと家に関しては醜悪としか言いようがないと、私は思っている。かつてブルーノ・タウト(世界的建築家で日本に住んだこともある)は新潟(市)を「俗悪」と評したくらいである。ところが、今、念のため、この言葉を確かめたら、これは「日本一俗悪な街」と言ったのであった。日本の都市全般が俗悪と思ったのかどうかは分からない。ただ私は、このブルーノ・タウトの言葉を何十年経っても記憶していたことでも分かるように、日本の街・家は醜悪と思っている。
川端康成はノーベル文学賞を受賞、記念講演の題は「美しい日本の私」だったが、私はこの言葉に強い違和感を覚えたものである。もちろん川端は、家や街並みのことではなく、四季折々の日本の風景を念頭に「美しい日本」と言ったわけだが。

話が、やや横道にそれたが、要するに、我々はただ自分の家、それも使いやすさなどだけにこだわり過ぎず、外観、街並みとの調和といったことも考慮した100年の年月に耐えられる住宅を目指すべきだと言いたいのである。

このとき初めて家は100年にもわたって使われ、必然的に、日本人の実質所得も向上、ひいてはそれが日本再生にもつながるであろうというのが、私の言いたかったことである。

かつて福田康夫首相(当時)が「100年住宅」と口にしたが、まさに口にしただけに終わった。政治家は本腰を入れて100年住宅に取り組むべきである。タワーマンションなどでは100年コンクリートの使用も一般的になっている。今後は、こうしたことを突破口に、一般住宅も、そしてハード面以外でも家が長く使用に耐えるようになるよう、官民一体になって取り組んでもらいたいものである。

2月07日 22時14分記






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