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2015.01.24
「林業再生」に本腰を入れて取り組むべし
私は日本再生の秘策」と題して1.10日付けで
①林業再生
②100年住宅(住宅の長寿命化)
③学校給食の完全米飯化
④津波避難マンション
の4つ(ほかにもいろいろ考えられようが、現時点で私が思いついたもの)を挙げた。そして
①まず、日本再生には雇用の大量創出が必須条件だろう。しかしそれは容易なことではない。ふるさと納税ごときで地方が元気になれるわけはない。工場が各地にどんどんできるとか農業が儲かるようになることとかが必要なわけだが、どちらもそう簡単にはいかない。
これに対し林産資源が今収穫期を迎えていてこれをうまく活用すれば、林業は比較的容易に再生し雇用もかなり生まれるのである。
と書いた。
これについて、ここでは、少し詳しく具体的に書いてみたい。
とは言え、私は相場師でありこの道の専門家でもなんでもない。よって以下の論述も、いろいろ不備、間違い(に近いもの)もあると思われる。大勢に影響ない範囲で、その辺はお許し願うとして以下、私の考えを書く。
日本では戦後の「拡大造林」で人工林(主にスギが植林された)が急増、これが今伐採適期を迎えている。このため森林面積は横ばいが続くが、森林蓄積は2012年で1966年の2.6倍に達している。
それでも伐採が増えず、森林の荒廃が続いているわけだが、それは伐採しても儲からない、利益が出ないからだったわけである。
それが、ここに来て、情勢は大きく変わりつつある。
つまり、世界的な木材需要の高まりの中木材価格は高騰、逆にデフレ下日本では価格が低迷を続けたため、今日本の木材価格は、アメリカやカナダ産に比べ割安な水準になっているようなのだ。アジア各国への輸出好調とも伝えられる。
にもかかわらず、日本で木材の伐採が目に見えては進まず、いたずらに森林蓄積のみ進むのはなぜか。
私は以下の問題からではないかと考えている。
①森林地主の高齢化
②日本産木材の品質
③「路網」
①であるが、長年、森林整備を怠る間に森林は荒廃、地主は高齢化、問題は日々深刻化している。ただ、ここに来て各地で、民間企業等が地主と交渉、伐採を請け負う動き等が活発化している。先日山手線に乗った時だったと思うが森林女子・森林男子募集の広告を見た。こういう動きも含め、国や自治体等が資金面、制度・法律面で後押しすることが重要だろう。
②、1、2年前になるがTVで同じ価格か少し安くても日本産木材よりアメリカ・カナダ産木材を選ぶといった趣旨の発言を(大手住宅メーカ―の方だったと思う)聞いたことがある。反(そ)ったり割れたりするとか品質が一定でなかったりする問題があるからだったと記憶する。これを聞いて、私は20年、30年前の日本製の綿製品、毛製品が良く縮んだことを思い出した。これに対し、ランズエンドやエディバウアーなどの製品はまず縮まなかった。これと同じことが今木材で起きているのではないか。そういえば私のリフォームした道志の家の玄関扉(1枚板)も取り付けてすぐに反って建築業者の方が、取り替えさせますと言って取り替えさせていた(私は気付かずにいたのだが)。
こうした問題が起きるのは乾燥が不十分なためだろう。アメリカやカナダとは違い、日本では業者は中小零細業者が多いため十分な高性能大型乾燥設備やその他各種製材設備等を有していないところが大半であろう。
政府、自治体等が資金面等で強力にバックアップして設備充実に取り組むことが望まれる。
③の「路網」という言葉はご記憶の方もあろう。確か菅内閣の時、菅首相(当時)等が盛んにこれの整備を推進すると言っていた。「路網」とは森林内にある公道、林道、作業道の総称で、日本の場合、これの整備が不十分なため、すぐそこに金になるスギの木が大量にあってもあたら指をくわえて見ているだけというケースが多くあるわけだ。人力や水運に頼る時代は終わったのに、路網の整備はほとんど行われなかったわけである。
しかし、これの解決は、そう難しくない。要は資金と政府等のやる気である。
「路網整備を加速化させるためには何をすべきか」 と題した日本森林技術協会の提言が出されたのは2009年3月のことである。
なお、このほか、木材需要の喚起も林業再生には重要だが、これへの方策としては
①CLTの積極活用
②公共建築物に木材を積極使用
が有効だろう。
①のCLT(直交積層材合板)は太平製作所(推)で当ブログ読者諸氏にはおなじみだ。CLTの中層木造建築物の構造材としての使用が期待されている(ヨーロッパ各国ではすでに使用されている)わけで、昨年は自民党要人の口からCLTという言葉もたびたび発せられた。菅内閣の時のように口先だけにならないようにしてほしいものだ。しかし大臣が変わるとかして担当大臣はCLTなど御進講を受けていなくて知らなかったりして・・・・
②は、すでに多少は行われているが、学校や幼稚園等、あるいは図書館、市役所等は積極的に日本産木材を多用したぬくもりのあるものにするといいだろう。現実にそうなった学校では評判もいいようである。
1月24日 23時05分記
①林業再生
②100年住宅(住宅の長寿命化)
③学校給食の完全米飯化
④津波避難マンション
の4つ(ほかにもいろいろ考えられようが、現時点で私が思いついたもの)を挙げた。そして
①まず、日本再生には雇用の大量創出が必須条件だろう。しかしそれは容易なことではない。ふるさと納税ごときで地方が元気になれるわけはない。工場が各地にどんどんできるとか農業が儲かるようになることとかが必要なわけだが、どちらもそう簡単にはいかない。
これに対し林産資源が今収穫期を迎えていてこれをうまく活用すれば、林業は比較的容易に再生し雇用もかなり生まれるのである。
と書いた。
これについて、ここでは、少し詳しく具体的に書いてみたい。
とは言え、私は相場師でありこの道の専門家でもなんでもない。よって以下の論述も、いろいろ不備、間違い(に近いもの)もあると思われる。大勢に影響ない範囲で、その辺はお許し願うとして以下、私の考えを書く。
日本では戦後の「拡大造林」で人工林(主にスギが植林された)が急増、これが今伐採適期を迎えている。このため森林面積は横ばいが続くが、森林蓄積は2012年で1966年の2.6倍に達している。
それでも伐採が増えず、森林の荒廃が続いているわけだが、それは伐採しても儲からない、利益が出ないからだったわけである。
それが、ここに来て、情勢は大きく変わりつつある。
つまり、世界的な木材需要の高まりの中木材価格は高騰、逆にデフレ下日本では価格が低迷を続けたため、今日本の木材価格は、アメリカやカナダ産に比べ割安な水準になっているようなのだ。アジア各国への輸出好調とも伝えられる。
にもかかわらず、日本で木材の伐採が目に見えては進まず、いたずらに森林蓄積のみ進むのはなぜか。
私は以下の問題からではないかと考えている。
①森林地主の高齢化
②日本産木材の品質
③「路網」
①であるが、長年、森林整備を怠る間に森林は荒廃、地主は高齢化、問題は日々深刻化している。ただ、ここに来て各地で、民間企業等が地主と交渉、伐採を請け負う動き等が活発化している。先日山手線に乗った時だったと思うが森林女子・森林男子募集の広告を見た。こういう動きも含め、国や自治体等が資金面、制度・法律面で後押しすることが重要だろう。
②、1、2年前になるがTVで同じ価格か少し安くても日本産木材よりアメリカ・カナダ産木材を選ぶといった趣旨の発言を(大手住宅メーカ―の方だったと思う)聞いたことがある。反(そ)ったり割れたりするとか品質が一定でなかったりする問題があるからだったと記憶する。これを聞いて、私は20年、30年前の日本製の綿製品、毛製品が良く縮んだことを思い出した。これに対し、ランズエンドやエディバウアーなどの製品はまず縮まなかった。これと同じことが今木材で起きているのではないか。そういえば私のリフォームした道志の家の玄関扉(1枚板)も取り付けてすぐに反って建築業者の方が、取り替えさせますと言って取り替えさせていた(私は気付かずにいたのだが)。
こうした問題が起きるのは乾燥が不十分なためだろう。アメリカやカナダとは違い、日本では業者は中小零細業者が多いため十分な高性能大型乾燥設備やその他各種製材設備等を有していないところが大半であろう。
政府、自治体等が資金面等で強力にバックアップして設備充実に取り組むことが望まれる。
③の「路網」という言葉はご記憶の方もあろう。確か菅内閣の時、菅首相(当時)等が盛んにこれの整備を推進すると言っていた。「路網」とは森林内にある公道、林道、作業道の総称で、日本の場合、これの整備が不十分なため、すぐそこに金になるスギの木が大量にあってもあたら指をくわえて見ているだけというケースが多くあるわけだ。人力や水運に頼る時代は終わったのに、路網の整備はほとんど行われなかったわけである。
しかし、これの解決は、そう難しくない。要は資金と政府等のやる気である。
「路網整備を加速化させるためには何をすべきか」 と題した日本森林技術協会の提言が出されたのは2009年3月のことである。
なお、このほか、木材需要の喚起も林業再生には重要だが、これへの方策としては
①CLTの積極活用
②公共建築物に木材を積極使用
が有効だろう。
①のCLT(直交積層材合板)は太平製作所(推)で当ブログ読者諸氏にはおなじみだ。CLTの中層木造建築物の構造材としての使用が期待されている(ヨーロッパ各国ではすでに使用されている)わけで、昨年は自民党要人の口からCLTという言葉もたびたび発せられた。菅内閣の時のように口先だけにならないようにしてほしいものだ。しかし大臣が変わるとかして担当大臣はCLTなど御進講を受けていなくて知らなかったりして・・・・
②は、すでに多少は行われているが、学校や幼稚園等、あるいは図書館、市役所等は積極的に日本産木材を多用したぬくもりのあるものにするといいだろう。現実にそうなった学校では評判もいいようである。
1月24日 23時05分記
りゅう
2015/01/25 Sun 01:25 URL [ Edit ]
TY
先生、東京コスモスについて御返答有難うございました。こちらも素晴らしい技術を持っている会社であることが分かりました。
後はこの材料が広く認知されるかどうかの問題ですね。
後はこの材料が広く認知されるかどうかの問題ですね。
2015/01/25 Sun 10:22 URL [ Edit ]
きき
耐久性から言っても日本の住宅は日本の木で建てられるべきですよね
北米の木は安くて加工しやすいそうですが、日本の湿潤な環境にはまったく適していません。
円安の動きを考えれば、これからどんどん日本の木材の需要は増えて当然だと思います。
木が反るのは当然のことだし、その辺の理解・リテラシーは利用者、購入者に求められるべきだと思います。
北米の木は安くて加工しやすいそうですが、日本の湿潤な環境にはまったく適していません。
円安の動きを考えれば、これからどんどん日本の木材の需要は増えて当然だと思います。
木が反るのは当然のことだし、その辺の理解・リテラシーは利用者、購入者に求められるべきだと思います。
2015/01/25 Sun 14:37 URL [ Edit ]
お疲れさまです。.....いつもながら、豊富な知識に基づくコラムを興味深く読ませて戴いております。《日本再生の秘策》は大変具体的で、政府が方針を示せば、動き出しも早く、効果も大きいと思います。 TVの経済番組で関係大臣を招いてのインタビューや討論を観ていても、質問も回答も事前に打合せたと思われる当たり障りのない具体性のない回答で終わり.....全く情けない状況です。
特に農林水産の中で林業再生については、具体的な政府方針は質問も発言もないですネ。 救いは、 先生が当道場で最初に発信された "CLT" が認知されつつあり、太平製作所の業績も良いようです。 最近は株価も底堅くなってきており、遠からず、実力に見合う株価になるだろうと期待しております。
せっかくの休日の寄稿で大変だと存じます。無理されない範囲で.......次回も楽しみにしております。
特に農林水産の中で林業再生については、具体的な政府方針は質問も発言もないですネ。 救いは、 先生が当道場で最初に発信された "CLT" が認知されつつあり、太平製作所の業績も良いようです。 最近は株価も底堅くなってきており、遠からず、実力に見合う株価になるだろうと期待しております。
せっかくの休日の寄稿で大変だと存じます。無理されない範囲で.......次回も楽しみにしております。
2015/01/26 Mon 16:37 URL [ Edit ]
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