FC2ブログ
2010.12.25 PERとPBR
今日の日経朝刊16面の「まちかど」なるコラムで「PER投資に復権の声」と題した記事が掲載されている。
大和証券系2社の調査結果の紹介記事である。

「リーマンショック後は最終赤字で予想PERが算出できない企業もあり、株価純資産倍率での銘柄選別が多かった。」と、ある(やや判然としないが、これは、日経記者の見解らしい)。

こういう記事を読まされると、私は、おいおいと言いたくなる。
投資尺度の基本は、いつでもPER(=株価収益率)だったはずで、PBR(=株価純資産倍率)が主流になどなりようがなく、するべきでもなかったのに、PBRをことさら大きく取り上げ、PERよりPBRの方が重要と言わんばかりの風潮を作って一般投資家を惑わしてきたのが、日経をはじめとするマスコミではないかという、苦々しい思いを抱いているからである。

実は、このPBR重視の流れは、前回で論じた経常利益より純利益重視の風潮と、ほぼ同時期に隆盛となったことなのである。こういう、まちがった風潮が、遅ればせながら、今頃になって、ようやく是正されそうなことに、やはり真実は勝つという思いとともに、間違いが、こんなにも長くまかり通り、さらに何の反省もなく、軌道修正されそうなことに、複雑な思いを禁じえない。

PBRが投資尺度の主流になりようがないことについて、簡単に説明しよう。
PBRは株価をBPS(1株純資産)で割った値である。BPSの数値は四季報等に載っているが、それは実績値であり、今期予想値は出ていない。この辺のことに詳しくない私の見解ということを割り引いてお聞き願いたいが、今期のBPSは今期のEPS(1株利益〕分くらいが、前期BPSにオンされるとみて大過ないであろう。
BPSが、こういうものだとすると、それをもとにするPBRを投資尺度にするというのは、どうすることなのだろうか?BPSなど半年1年では率的には大して上下せず、株価変動をうまく説明できないではないか。

具体的に詳しく書くと長くなるが、そうするまでもなく、そんなやり方は、ほとんど使い物にならないし、誰も実際には、使っていなかったのではないか。ただただPBR0.9倍で会社解散価値より低い評価は超割安などといった、いい加減な利用のされ方をしてきたのが実態なのである。

それでも、このPBR重視の風潮はすさまじかった。まるで赤狩りのように。PERという用語は、ほとんど聞かれなくなり、PBRが跋扈、それもあまり知識のない人たちが、PBR1.2倍と割安などと、やたらと言う事態が起こった。(私だけはひとり、必ずPERを、推奨記事では入れてきた)
現在の各市場の平均PBRがどれくらいか、こういう人たちは分かっているのだろうか。
東証1部=1.13倍
東証2部=0.65倍

会社解散価値以下の評価なら、買いで報われるはずというのが、PBR論者の基本的考えのはずなのに、東証2部の全銘柄平均0.65倍は、どういうことなんだと、私は言いたいのである。要するにPBRは、基本的に使い物にならない投資尺度なのである。もちろん、補完的には、多少は使えるし、株価下落局面での下値限界を探るといった場合には、多少役立つ。まあ、その程度のものと思った方がいい。

考えてみれば、私が大学卒業後、平凡社に入社し、最初に与えられた仕事が『世界大百科事典』改定における、株式投資関係の用語に関するものだった。そこで株価収益率、1株利益などの項目を補遺する仕事をさせてもらった。日本の百科事典で、こうした項目の入った最初のはずである。現行の『大百科事典』でも、こうした項目の編集の仕事をさせてもらった。
私事ながら、こういうこともあり、私のPERへの思いは強く、その後、PERの実際の株式投資への適用はどうしたらいいかを研究、完成させた株式投資理論を「鎌倉式修正PER理論」と命名しているくらいである。

12月25日 20時25分記
Secret

TrackBackURL
→http://kamakurayuusuke.blog134.fc2.com/tb.php/189-176f592d