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12日の日経朝刊に、日本、アメリカ、ドイツの最新時点のPERが掲載されている(17面)。
日本のPER(日経平均採用銘柄)は13.70倍となっていて、これを基に、日経は「世界的に見ても日本株は割安だ」としているが、このファクトセット(アメリカの調査会社)の数字と、それを基に論じた日経の記事をみていて、ちょっと面白いことに気付いた。

日経には、「3月期企業が決算発表を終える5月中旬以降の数字を基に考えると、予想PERは13倍弱に低下する計算になる。」という記述もある。ここで、はたと気付いたのである。今は4月、今期予想PERを算出するには3月期決算会社(日本ではほとんどの企業がそうである)の場合、2015年3月期の予想利益が必要のわけだが、これはまだ会社側からは発表されていない。
それなのに、日経はPERは「予想」としているが、少なくとも3月期決算企業に関しては「実績」というか「前期の数字」だということである。

ここまでだと、まだそれほどたいした話ではない。
しかし、もう少し重要な事実があるのである。つまり、日本では大半の企業が3月決算である。しかし、世界、重要なのはアメリカのほか、ドイツ、イギリス、フランス等であるが、これらの国々が何月決算かである。3月決算なら問題ないが、恐らくそんなことはあるまい。と、私は推理したわけである。
案の定、アメリカ企業は12月決算がほとんどのようである(東証外国部上場の全上場企業=アメリカ、中国、韓国が12月決算だった)。

となれば、結論は簡単だ。日経の言うPER13.70倍を予想値とするのは問題である(確かにまだ2014年3月期決算は未発表なので「予想値」に嘘はないが「今期予想値」ではなく「前期予想値」なのだ!)。米欧との比較では3月決算企業の場合、2015年3月期の予想値でPERを算出すべきであり、その場合PERはかなり低下するはずだ。こういうことになる。

それでは、日本株の予想PERは、実際はどれくらいになるのだろうか。
日経は日経平均採用銘柄(225銘柄)のPERに持って行きたがるが、これは少しおかしいだろう。アメリカのPERがNYダウ工業株30種平均採用の30銘柄のPERということはないだろう(ただし推測)。
東証1部全銘柄のPERは14.67倍となっている。これは3月期決算企業について2014年3月期の予想値を使って算出しているものなので、今期=2015年3月期10%程度増益という大方の見方を基に予想PERを算出すると(3月期決算でない企業も多少あることを考慮し)、13.5倍程度となろう。

日本は3月決算企業が大半、米欧は12月決算企業が大半として、日本企業には3ヵ月のアドバンテージがあるわけだが、これは無視してもいいだろう。シビアにみる方は日本のPERを13.7倍程度にみればいいだろう。
いずれにせよ、これは世界の先進国中、ドイツなどと並んで最も低PERな国ということになろう。しかも、過去の実績として、日本株は、おおむねアメリカ株と並んで最も高PERだった。ヨーロッパ各国株との比較では、ほぼいつでも、これらを上回る高PERだった。
結論としては、PER的には、日本株は、米欧各国株と比べて歴史的な低水準レベルにあるということである。
もちろん、この一事をして、日本株の先行きを楽観視するのは危険だが、少なくとも、事実は事実としてしっかり頭に入れておきたい。

4月13日 21時18分記
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