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阪神阪急ホテルズのメニュー虚偽表示問題での社長の記者会見と、その後の展開をみていたら、例の伊豆大島の大島町長のそれがオーバーラップしてきた。さらにみのもんたのそれも重なってきた。

私が、ここで書こうとしているのは、「芝エビ」と「バナメイエビ」の見分けがつくかといったことでは、全く無い。話は例によって、自由に飛翔するのを、お許し願う。

しかしバナメイエビとは、漢字でどう書くんだろう?これを書いていてようやく覚えたが、最初テレビで耳にしたときは覚えられず、とりあえずバナナエビみたいなやつとインプット、そういえば、昔バナナウオとかいう訳のわからんやつがあったなと、学生時代を思い出した。

私らの時代、サリンジャーが人気で、一橋大に行った友人は『ライ麦畑でつかまえて』(キャッチャー・イン・ザ・ライ)がテキスト(恐らく教養の英語の授業)だったが、私は『ナイン・ストーリーズ』で、その中の一つが「バナナウオ」なのだ。バナナウオが何だって?それは「バナナウオ」を読んでもよく分からない謎の魚なのである。
そういうこともあって、私は長らく「ライ麦畑」は読んでいなかったのだが、10余年前ようやく読んだ。批評は差し控えるが、翻訳(野崎孝訳)がどうもという感を禁じえなかった。そうしたら、2003年、村上春樹の新約(『キャッチャー・イン・ザ・ライ』)が出て話題になった。私とほぼ同世代の彼も同様の思いを抱いていたんだろうなと思ったことだった。
注=今大学時代のテキスト『J.D.サリンジャー作品集』(繁尾久/武田勝彦共訳。私は、この武田さんの授業を受けたのでした)を見つけ出して調べたら「バナナウオ」は小生の勝手な訳語・造語で、もとは「バナナフィッシュ」でした!!「ウナギイヌ」(赤塚不二夫)世代なもんで。ま、どうでもいいか。

話を本題に戻そう。

阪神阪急ホテルズが犯したことは、社長の言う「誤表示」のレベルではなく「偽装」と言われて当然のことであり、これを、そういう判断が、すぐに出来ず、その後もグループの「ザ・リッツカールトン大阪」で同様の問題が発覚しても、同様の主張をリッツ大阪の社長が繰り返したのは、重大な判断ミスだということである。

これは、台風避難を巡る大島市長の記者会見、息子の窃盗事件を巡るみのもんたの対応についても、全く同じことが言える。

こうした対応ミスには、もちろん、単なる対応ミスにとどまらない、本質的なこと(人格的なことなど)もあるかもしれないが、私が今ここで、問題にしているのは、そういうことではなく、純然たる判断能力についてである。

こうした問題が起きたとき、自らが犯してしまったことを客観的に早急に分析、世間はどう反応するかを熟慮、マスコミ等への対応をどうするか、こうしたことを、当事者は、ごく短時間に決定しなければならない。

大島市長は、最初の記者会見の後の翌日の記者会見からは態度を一変させ、次の台風襲来では、早期に住民を避難させた(羹に懲りて膾を吹くの結末になったとは言わないが、そう言いたくなるようなことになるのは、こうした場合の常である)。次の選挙が脳裏をよぎり、「潔い」「変身」になったのだろう。
しかし、最初からなぜできないのかということである。

株式投資の世界では、先を読むのは常識中の常識である。半歩先を見ていなくては、どうにもならない。前期実績の1株利益でPERを算出していてはどうにもならない(結構いるわけだ・・・)。
ところが、前記のような例だけでなく、世の中では半歩後を見て判断・行動するのが、日本ではむしろ常識である。

例えば、国会議員の定数是正のやり方がいい例だ。
国会は選挙区の人口として国勢調査の結果を使うのを通例としている。しかし、「国勢調査は人口調査」というのは過去の話で、いまや調査項目は多岐にわたり、その結果、調査から公表まで数年もかかる体たらくである。だから、これをもとに、ぎりぎり格差を2倍未満にしたといっても、実際は、その時点ですでに2倍を突破している選挙区がある(アバウトな話で恐縮だが、これは直近の改正でそうのはずである)。これなど、基になる人口統計として、国勢調査ではなく、ほとんど遅れずに現在人口を反映できる住民基本台帳を使えばいいのである。こんな簡単なことが、全国会議員の誰一人気付けないとしたら、嘆かわしい限りだ。

経済統計などでも、似たようなことがみられる。日本の経済統計の発表が、世界の主要国に較べ遅いことは前に書いたが、その遅い統計を基に、半歩遅れた政策を続けて来たのが例えば日銀であり、国交省のわけである。
地価の統計などは、1物四価などと揶揄されるくらい、各種発表しているが、これが遅すぎて、政策が後手にまわる元凶になっているのではないかとさえ思われてくる。リアルタイムの実勢地価(取引価格をリアルタイムで集計し公表するシステムを構築すべきなのである)をもとに、土地取引を管理すれば、バブル抑制に多大の効果を発揮するはずである。

カネボウ化粧品の問題でも、その対応が問題になった。
考えてみれば、カネボウ化粧品の場合、花王、阪神阪急ホテルズの場合、阪急阪神HDという収益基盤の固い巨大企業が、バックに控えている。だから逆にこうした危機意識の薄いノー天気な対応になったのかもしれない。しかし、そうでなかったら、カネボウ化粧品にしろ阪神阪急ホテルズにしろ、直ちに経営危機に直結する由々しき問題である。その危機管理能力の欠如は深刻である。

阪急阪神グループは、どうすべきだったか。
グループトップが、ホテルズのトップ、事情に詳しい責任者等数名を直ちに召集、実態把握に努める。
冷凍したオレンジジュースを輸入、自然解凍してお出しして、それがフレッシュジュースだとお!!
これひとつで、もうこりゃだみだ、と判断できるような、ごく簡単な事案なのである。

ということは、阪急阪神グループは、そういう対応はせず、甘くみていて、当事者=ホテルズの社長等に任せていたのだろう。安定的に運賃という日銭の入ってくる電鉄会社の甘さが露呈したと言われてもしようがない。

これは原発事故を起こした東電にも通じることである。
こうした半独占企業の経営陣は、こうした事例を他山の石、反面教師として、身を引き締めて、経営に当たって欲しいものである。

10月27日 12時21分記

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