そろそろPBRもすたれ、本来の地位に戻るかと思っていても、一向に、その気配が無い。それどころか、比較的最近(2ヵ月前くらい?)、日経のコラムで、こういうことを書いている方がいた。

東証1部(だったと思うが)の低PER上位20(?)銘柄と低PBR上位20(?)銘柄に、毎月だったか、継続投資を続けていく、そうしたら、どちらが投資成果が良かったかということを、実際にやって、その結果をグラフ化しているわけである。結果は、私が、わざわざ、ここで取り上げるのだから、言うまでもない。低PBR銘柄の方が、好成績だったわけである。

そんな馬鹿な、というか、腹立たしい気持ちを抱きつつも、なぜこういう結果になったんだろうと、私は考えた。

その結果、はたと気付いた。その仮説が正しいかをチェックしてみると、予想通りのいい数字・結果が出た。恐らく、そういうことだったのである。しかし、前記のコラムを書いた方も、掲載した日経の関係者諸氏も、そういうことには、全く気付いていないのだろう。そしてまたPBR信奉者がはびこるのかと思うと、私は嘆かわしくまたぞっとしたことだった。

さて、それでは、どうして低PBR銘柄投資に軍配が上がるという結果になったのだろうか?
と言っても、これは、あくまで私の仮説に過ぎないが(ただし私はこの仮説に9割超の自信を持っている)。

10月14日 15時40分記

【仮説】
低PER上位銘柄を、具体的にみてみよう。
楽天証券の提供するマーケットスピードにあるものを使ったが、いろいろ問題がありそうで、私は、あまり信頼していないことをお断りしておく。今手元に、これしかないので利用するわけである。
  
  銘柄         PER(倍)     
1位=東京機械    0.70
2位=中山製鋼    1.02
3位=住石HD     2.70
4位=東京電力    2.77
5位=TASAKI    2.93

もう、お分かりの方も多かろう。そうである。こんな、低PERはおかしい。私が、たびたび書いているように、普通、最も低PERでも、その数値は4倍前後どまりなのである。3倍未満などと言うのは、特別利益により純利益がかさ上げされているとみて、まず間違いない。


1位の東京機械は経常利益が赤字
2位の中山製鋼は経常利益20億円に対し純利益685億円
3位の住石HDは経常利益3.2億円に対し純利益33.0億円     
4位=東京電力は経常利益1000億円の赤字に対し純利益3000億円    
5位=TASAKIは経常利益0に対し純利益5.0億円(会社発表の数字。四季報は経常利益1.0億円に対し準利益6.5億円) 注=TASAKIのPERが2.93倍になぜなるのか不明

ついでに言えば、6位のネクシーズは、どうしてPER3.93倍なのか不明、7位、8位も純利益が経常利益を大幅に上回る、9位のコナカもどうしてPER4.47倍になるのか不明、10位のコーナンにいたって初めて経常利益が純利益を大幅に上回るが、実はコーナンは決算発表が遅延しそうというバッドニュースが伝えられ、次いで社長による不祥事が報道されており、株価急落中という特殊事情がある。

要するに、何らかの操作を加えないで、単純に低PERをセレクトすれば、間違いなく、上記のようなエセ低PER銘柄がぞろぞろ上位に出てくるのである。 

次に上位5銘柄の実質PER(純利益を経常利益の6割とみなして1株利益を算出して、これに基づいて算出したPER)を示しておこう。

    銘柄       PER(倍)
1位=東京機械     ー
2位=中山製鋼    57.8
3位=住石HD     46.3
4位=東京電力     ー
5位=TASAKI     ー

注=ーは1株利益がマイナスでPERが算出不能のため。

要するに、低PER銘柄に投資したはずが、とんでもない高PER銘柄や経常利益赤字銘柄ぞろいだったわけである。これでは、投資成果があがるわけがない。
蛇足ながら、低PBR銘柄の場合、こういうことは起きない。

しかし、どうして、こういうばかばかしい罠に、簡単に多くの人がはまってしまうのか。嘆かわしい限りだ。
だが、こういうことは、世の中に満ち満ちているのだ。

1つだけ例を出そう。
犯罪マップとかいうものがある。警察庁かなにかが公表していたと思う。昔、これを見ていたら、東京で最も犯罪が少ないところが、羽田(羽田空港の近く)あたりだった。どうして、ここが一番安全なのか。地図を見たら分かった。埋立地かなにかで、ほとんど人がいなさそうな地域なのだ。
また、東京都区内で、世田谷区、杉並区の犯罪が多い(トップクラスだったかまでは今記憶にないが)という統計を見た記憶がある。確か足立区などよりはるかに多かった。安全な町に住みたいと、閑静な住宅街というイメージの強い世田谷区に家を買ったら、これでは参ってしまうだろう。しかし、これは、世田谷、杉並は高級住宅街のイメージが強いのでこそ泥(窃盗)が多く、ために犯罪件数では上位に来るわけである。住宅を選ぶ人にとっては、重要なのは、こそ泥より凶悪犯罪の発生率である。調べたわけではないが、世田谷、杉並は足立より凶悪犯罪発生率は低いであろう。

我々は、落とし穴が多い、こうした怪しげな統計にだまされることなく、真実を見抜く目を養っておくことが重要だ。特に株式投資においてはそうである。

10月14日 20時27分記
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