fc2ブログ
サザンオールスターズのニューシングル「ピースとハイライト」(8.07日リリース)、その歌詞もいろいろ話題になっているようだが、一般的に関心を呼んでいるらしきことはさておき、私は以下のフレーズを見て、これを書く気になった。

教科書は現代史を
やる前に時間切れ
それが一番知りたいのに何でそうなっちゃうの?

「何でそうなっちゃうの」かは、自明の理だと思っていたのだが、実は2ヵ月前くらいだろうか、渡辺淳一氏だったと思うが、教師の政治的対立に巻き込まれるのを回避したいという気持ちが理由だろうといった趣旨のことを書かれていて、驚いた記憶があり、「ピースとハイライト」の歌詞とあわせ、これに関して、一言したくなったという次第である。
注=渡辺淳一氏だったかやや自信がない、またその発言内容も多少不正確かも知れないこと、お断りしておきます。

念のため、ネットで調べてみたら「日本近現代史を教えないのは文科省と教職員組合との『共同謀議』なのではないかと、私は密かに疑っている。」という記述が、早速出て来た。私は採らないが、この説も意外に根強いようではある。

私は単に教師が時間配分をうまく出来ないから、そうなっちゃってると考えているわけだが、日本人全体ではどうなのだろうか。

【コロポックル】
コロポックル、あるいはコロボックル(アイヌ語で「蕗の葉の下の人」という意味)、この言葉を聞いたことが、おありだろうか?水木しげるの妖怪の中にも出て来るようだから、意外に聞いたことがある人も多いかもしれない。また佐藤さとるの児童文学の名作『だれも知らない小さな国』もコロポックルをテーマにしている(私は感動した記憶があるのだが全く覚えていない)。

私は、実は中学校の社会(歴史)の授業で、この言葉を聞き、深く心に刻み込まれた。さらになんと小金井良精(解剖学者、人類学者でコロポックル説を強く批判。私の故郷長岡出身)などという名前も、この授業で覚えた。要するに、社会の先生が日本人の祖先の話として「コロポックル説」について異様に詳しく、熱弁をふるわれたわけである。当然、授業は現代史まで行くわけはなかった。

話をやや脱線させることになるが、次のような例もある。

知り合いで宅建主任の試験勉強に取り組んで失敗した人の話である。原因を知ろうと話を聞くと、参考書を買って勉強したのだが、入母屋造りとか腰折れ(マンサード)はしっかりマスターしたのだが、税などは興味が無くて簡単に済ませたらしいのである。入母屋造りとか腰折れとかが出てくるのは、確か第1章というか最初である。そして、ここからの出題はほとんど無い(10年に1度くらいか)。

受験英語で、みんな(少なくとも我らの時代では)、アルファベット順の英単語集を勉強するわけだが、(aから始めて)abandonでabandon(やめる、断念する)といったジョークというか自嘲的な言葉が、広く伝えられていた。

要するに、みんな最初はフレッシュな気持ちでがんばるが、じきに熱意は薄れがちだということを,こうしたことは、物語っているわけである。

【歴史教師が現代史を教えない訳】
というわけで、歴史の先生が、授業において現代史というか、比較的最近の歴史にまでいけずに、終わってしまう理由は、間違いなく、単に最初ほど張り切って詳しくやりすぎ、次第に時間切れになって最後まで終わらせられないということだろう。しかし何十年とやってきて、これをなんとも出来ないのは、どうしてだろう?

ふとここで、ウィットフォーゲルの「アジア的停滞」という言葉を思い起こした。この言葉はかなり政治的意味合いの強い言葉のようだが、ここでは、10年一日のごとく同じことを繰り返していて進歩がないことの意味で使わせてもらう。これも大学の地理の授業で覚えたのである。ことほど左様に教師が熱弁をふるうと、教え子の頭には、どうでもいいことでも深く刻み込まれることが往々にしてあるのである。
しかし、歴史の先生方にも、いい加減に「アジア的停滞」から脱し、現代史も教えられるように上手に時間配分し、きちんと授業を進めてほしいものである。

注=「アジア的停滞」はウィットフォーゲル独自の概念ではないが、私の頭には、かなり長い間、そのように刷り込まれていた。

しかし、精神論だけでは今後も改善は期待できない。
いい方法がある。私は株価暴落でにっちもさっちもいかなくなり一時塾で教えていたことがあるが、ここでは年間授業回数が何回と決まっていて、各回ごとにやることが決まっている。だから歴史で言えば例えば15回=大正時代といった風になるわけだから、最後の授業は2.26事件だったなどということはありえない。
これにならい、しかしこれと同じでは、すこし幼稚にみえていやかもしれないから、一応の目安として、4月末はここまで、9月末だったらここまでといった進行の目安を示しておくといいだろう。これだけで、劇的に事態は改善すること間違いなしである。

7月27日 12時55分記
Secret

TrackBackURL
→http://kamakurayuusuke.blog134.fc2.com/tb.php/1489-7fbd4c3a