比較的のんびりと時間が過ごせていることでもあり、ここでは書こうと思いつつも果たせないで来た「追(い)証」について、書くとしよう。

なぜ、こんな分かり切ったことを、今さら書くかというと、半世紀近くも、信用取引をやってきながら、追い証について、いい加減にしか知らなかった、というより、いかに証券会社が、いい加減に情報提供してきたかを、最近知ったからである。

私は、追い証というのは委託保証金率(以下保証金率と記す)が20%を下回ると徴収されるもので、この場合30%まで一気に回復しなければならないと思っていた。というより、比較的最近まで私の利用している証券会社は、そういう規定だったのである。それが、2週間ほど前、担当営業マン氏と話していて、20%を下回ると徴収されるのは現在もそうだが、30%まで回復する必要はなく、20%を回復すればいいと、仰る。おいおい、そんなこと、聞いてないよ、「いつ変わったんです?」と言うと、「いや、最近ですよ、あの津波のせいじゃないですかねえ」と、かなりいい加減なお話。

それで調べたわけである。
以下は東証のHPにある用語集の「追証」の記述である。

顧客の思惑に反し、信用買いを行った銘柄の株価が下落し、また、信用売りの株価が上昇して計算上の損失が生じた場合、顧客は証券会社から追加の保証金を徴求される場合があります。これを通常、追証と呼びます。追証の差入れは、当初に差し入れた委託保証金から相場の変動による損失額等を差し引いた額が約定値段の20%(委託保証金維持率)を割った場合に、その生じた日の翌々日までの証券会社が指定する日時までに20%を回復するように差し入れなければなりません。

これでみると、20%を割ったら20%を回復すればいいということで、ならば追い証など、そう怖くはないではないか。

ところが、やはり、こんなことではすまなかった。
以下は私の調査結果。

松井証券      25%割れ→31%回復

カブドットコム証券 25%割れ→30%回復
マネックス証券   25%割れ→30%回復

楽天証券      20%割れ→20%回復

恣意的に選んだわけではなく、ネット上で比較的簡単に分かったところを載せたのである。最大手のSBI証券が抜けていたので追加すべく調べた。

20%を下回った場合には、20%を回復するまで追加保証金を差入れていただきます。ただし、証券取引所の取引規制等又は当社独自の判断により、当該20%の数値は変更されることがあります。

「当該20%の数値は変更されることがあります。」というのがみそだ。

要するに、東証が「20%を割ったら20%を回復すればいい」という規定を公表しているが、各証券会社は、これに縛られること無く、独自の規定でやっているケースが、結構あるということである。しかも、問題はそういう実態をほとんどの投資家は知らないということである。
この辺のことはキャッシュディスペンサーと似ている。つまりキャッシュディスペンサーの稼働時間、時間帯別手数料、振り込み手数料等について、正確に知っている人は少ない。知っていても自分の利用している銀行等のものだけだろう。銀行マンにしても大同小異で自行については知っていても他行については、まず知らない。証券マンも同じで、松井証券が25%割れしたら31%まで回復しないといけないなどと聞いたらびっくりするだろう。
キャッシュディスペンサーの場合、実害は知れたものだが、追い証の場合はそうはいかないのが問題なのである。

信用取引をやっている投資家の全投資家に占める比率は小さい。しかしだからといって、この問題は現物オンリーの投資家にとっても対岸の火事ではない。数は少なくとも、個人投資家の場合、売買金額ベースでは、信用取引の比率が圧倒的に大きいからである。

私は、今回の暴落で、主力株に比べ、小型株、特にマザーズ、JQ、2部株の下げが異様に大きかったことに、この追い証に関するルールがよくは知られていなかったことが、一つの大きな要因だったのではないかと考えている。
加えて、もう一つの要因として、以前に書いた特別気配の問題があると考えている。つまり売り(買い)気配になっている場合、保有株・建て株の評価をこの気配値でやるのか、直前の値段でやるのか、明確に知っている投資家は、恐らく少ないのである。よって、自分の口座の状況が追い証などには程遠い状況だと思っていたら、17時とかに確認したら、とんでもない数字になっていて「××日、15時00分までに○○万円を入金してください。」といった文言を発見、パニクるといった状況が、かなり発生したのではないかと推測する。

上記の2つの要因が、今回の暴落で小型株の下落幅を必要以上に拡大させたのではないかというのが、私の仮説のわけである。この見方が、ある程度以上当たっているなら、今後の小型株の戻りは、大型株を上回るものとなろう。

6月29日 15時43分記
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