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『偽眼のマドンナ』は渡辺啓介の処女作にして代表作。話は「私」が公園に行って本を開くところから始まる。扉には「知られずして忘れられたる詩人Q」と記されている。小生のプロフィールにこの文句を使わせてもらったこと、渡辺啓介様、お許しください。本を読んでいる「私」の前に老紳士が現れ、昨晩一人の女を殺したと言って、その顛末を語りだす。最後に、紳士は自分が「知られずして忘れられたる詩人Q」であることを明かし、今語ったのが新作『偽眼のマドンナ』だと言う。
啓介は、弟の温は天才で27歳で夭折したのに対し、自分が「なお死なずにいる厚かましさ」と、90歳のとき書いている(『鴉白書』)が、2002年、101歳で、この文壇最長老は、この世を去った。処女作のみ有名だが、晩年の『吸血鬼一泊』の味わいは、すばらしい。

『可哀想な姉』は渡辺啓介の実弟・温の代表作。この短編の素晴らしさは『新青年』愛好者は別として、理解されてないのかと思っていたら、数年前、鴻巣友季子氏(翻訳家)が、久世光彦氏の『美の死』で本作が取り上げられていることを知り矢も盾もたまらずこの「美しくもグロテスクな」短編を借りにと書いているのを、新聞のコラムで読んで、うれしかった。それはそうと、渡辺温は、ざっと数えただけでも、27年の生涯で15回も引っ越している。20歳前後には4年連続で1年に2回引っ越している(『叢書新青年』渡辺温年譜による)のには驚いた。

『オランペンデクの復讐』は香山滋の処女作。香山滋といっても、もはや忘れ去られた作家の感があるが、ゴジラの生みの親でもある。滅び行くものへの哀惜の念は、この作家の一大テーマ。三島由紀夫が大蔵省の先輩作家として言及したこともある。『怪異馬霊教』、『海鰻荘奇談』も捨てがたい。

『かいやぐら物語』。横溝正史には同系統の作品に『面影草子』、『鬼火』、『蔵の中』などのいわゆる怪奇幻想小説の傑作がある。

『文学少女』は「探偵小説芸術論」を引っさげ甲賀三郎らに挑んだ木々高太郎の力作。

『三人の双生児』。作者の海野十三は日本SFの父として『振動魔』、『蠅』などの代表作があるが、本作は「サワ蟹ノ棲メル川沿イ二庭アリテ紫ノ立葵咲ク」という文句が、いつまでも心に残る。郷里徳島への郷愁が胸を打つ。私は道志村の田舎家の脇の宝永沢川でサワ蟹を見つけると、この作品を思い出す。
海野十三の作り出した名探偵が帆村荘六。江戸川乱歩がエドガー・アラン・ポーをもじったものであることはあまりに有名。「利根川散歩」等を名乗る御仁も雨後の筍のごとく出現したとか。では、この帆村荘六は?お分かりにならない人のためにヒント。荘六の「荘」は「ショウ」と読む。
左様、荘六帆村=シャーロック・ホームズ(のつもり)なのだ。ちょっと無理があるんでは?この無理こそ海野の真骨頂。それを揶揄した川柳風な物言いがあったはずだが、思い出せない。

『逗子物語』以下については稿を改めて書きたい。


株の方は、アメリカを筆頭に、世界的に意外にも堅調な展開で、そうなると、アメリカ景気悪→FRBによる金融緩和→円高 とうシナリオもいささか怪しくなります。金融緩和→円高はともかく、アメリカ景気は予想されているほど悪くなく、株高はそれを先見しているのではないかという見方も捨てきれないと私は考えています。
いずれにせよ、魔の10月下旬を控えて、期待と不安の中に、18日、市場は開きます。ここを乗り切れば明るい未来が開くという方に、今の私は傾きつつあります。
 
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