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2010.10.14 相場の実相
日経平均は180円高し9584円まで戻った。
しかし、一般の投資家にとっては、これは、かなり違和感のある水準である。私がそういう流れに乗り切れてないという側面があることは、認めるが、ことは、そう単純ではない。

以下、少し詳しく見てみよう。
今日10月14日のTOPIXは837。これは2008年の11月13日とか12月25日と、ほぼ同水準である。
このうち11月13日の日経平均はというと、なんと8239円である。要するにこの2年弱で日経平均は16.3パーセントも上昇したのに、TOPIXはまったく上がらなかったのである。

以上はやや長いスパンでのことだが、ごく最近のことでは中大型の主力株は堅調でも小型株、2部、新興市場はまったく上がらないか下げると言う場面が、多々見られる。今日にしてもJQ、マザーズは、そろって安く、2部も横ばい(+0.03)だ。

こうした傾向は2カ月くらい前から特に目立ち始めた。
当ブログで日本電産が京セラの株価を抜くことを書き、それが実現したのが8月22日だった。それが現在はどうなっているか。

日本電産 7740円(8月22日)→7540円 (10月14日)
京セラ  7540円(8月22日)→8630円(10月14日)

日本電産の場合、公募増資発表という悪材料が、この間出たが、それにしても、この彼我の差は大きすぎる。
実は、ここ京セラは空売りが急増、逆日歩が数日前からついている。
逆日歩ということで、ついでに言うと、以前に取り上げた京急は9月10日には883円まで上げたが、ここに来て大きく下げ今日は760円、私鉄トップだった株価は、小田急に1円抜かれた。

いろいろ言われても、一体どういうことなんだと、話が見えないという方がいらっしゃるかもしれない。一言で言うことは難しいが、あえて言うならば、今の相場は、かなりいびつな動きになっているということである。こういう相場がいつまでも続くわけはないのだが、ではいつ終わるかと言うと、これははっきりしたことは分からない。
おそらく、個人投資家の多くは、懐具合が想像以上に悪く(少なくとも日経平均よりかなり悪いと見て間違いない)、信用で買った小型株の期日到来に追われ、やむなく五月雨式に処分売りを出し続けている、これが今の相場の実相ではないか。いや俺は信用などやってないぞと言う方もいらっしゃろう。ごもっとも。しかし、株価形成に影響を与えるのは、そういう零細投資家(侮辱しているわけではないのお怒りにならぬよう)ではなく、大口投資家であり、そういう人は信用取引をやっているケースが多いと考えられるのである。

信用の期日通過が、この観点から注目すべきだが、これは10月下旬までである。日経平均の本年高値は4月5日だが、TOPIXは4月15日、2部は4月30日、JASDAQ、マザーズは4月27日、その6ヵ月期日からして、そうなるのである。
この辺が、相場の転機(物色の流れの変化、小型株復活)になる可能性があるのではないか。

10月14日 23時58分記
2010.10.13 地獄を見る
いやはや、どうしようもない相場が続きます。
と言って、OZAWAのように、都合が悪いと雲隠れしていては、人格を疑われるので、がんばって書いています。

地獄と言えば渡辺啓介『地獄横丁』(ほとんど無名?)、この頃の探偵小説(ミステリー)は、「地獄」、「悪魔」だらけですな。渡辺啓介は「薔薇と悪魔の詩人」と言われたらしいですが、意味が良く分からなかったのが、今日ネットでいろいろ見ていて分かりました。「薔薇を愛する悪魔派の詩人」ということらしい。

株は、円高の底が見えず、また、何度か触れたように、どこに地雷が潜んでいるか分からない10月という不吉な月なので、キャッシュポジションを高めて、次なる展開に備えるところでしょう。あと半月、辛抱が続きます。そのあとが薔薇色の日々か「悪魔が来たりて笛を吹く」かは、神のみぞ知るですが。

住軽金が強い動きです。さすがに全般安に抗せず、終値は1円安でしたが、地合いが良くなれば、出遅れ解消に走りそうな今日の動きでした。

10月13日 1時16分記
最近『見上げれば星は天に満ちて 心に残る物語ー日本文学秀作選』(浅田次郎編)(文春文庫)を読んだ。その前に読んだ『名短編、ここにあり』(北村薫、宮部みゆき編)(筑摩書房)収録の作品と違い、こちらは、ある程度共感するものがあった。しかし、もちろん、まったく共感できないものもあり、何より面白くないものも少なからずあった。

それで、不遜にも、自ら選んでみようと思い立った。もとより、さほど多くの短編を読んでいるわけでもなし、我が好みが一般的なものとも思わない、いやそうではない一風変わっていると自認しているが、世にある、著名人の選んだアンソロジーに満足できない人間として、風変わりなものを作成してみたくなったのである。

興味のない人は無視くだされ、多少なりと興味を感じられたら、お読みいただければ、うれしいです。
いずれ整理するとして、順不同で。

偽眼のマドンナ       渡辺啓介
可哀相な姉          渡辺温
オランペンデクの復讐   香山滋
押絵と旅する男       江戸川乱歩
かいやぐら物語       横溝正史
小さな王国          谷崎潤一郎
雪国              川端康成
文学少女           木々高太郎
三人の双生児        海野十三
逗子物語           橘外男
山月記             中島敦
凧                大下宇陀児
補陀落渡海記        井上靖
石の骨             松本清張
かむなぎうた         日影丈吉 
黄色い吸血鬼        戸川昌子
長距離電話         赤川次郎    
胡桃園の蒼白き番人   水谷準
猫町             萩原朔太郎

読み返す時間、意欲もないので、果たしてこの選択でよかったか(たとえば、谷崎の『小さな王国』、ただ感動したという記憶しかない)不安だが、そう責任あることでもないのでよしとして。古めかしい名前のオンパレードに、赤川次郎が違和感を放つのが、気にならないでもないが、この作品はやはり入れたい。『雪国』と『逗子物語』がいっしょでは仰天する人もいるだろうな。

松本清張、何にするか迷っていて『石の骨』を思い出し、書棚からようやく探し出し、つい再読してしまった。世にいれられぬ学歴のない学者の話。同様学歴のなかった清張の主人公に寄せる共感が鬼気迫る。ところで、主人公のモデルは、かの明石原人の発見者として知られる直良信夫。私は、大学時代、実はこの人の人類学の講義を取ってる。直良さんが『石の骨』の主人公黒津先生と知ったのは、この本の奥付からして、講義を受けてるときより2、3年後だったように思われる。いずれにせよ、それを知ったとき、大いに驚いたことを今でもよく覚えている。直良さんは、人の良い好々爺そのもので、傲岸不遜の黒津先生と、あまりにイメージが違っていたからである。また明石原人、葛生原人(これも直良信夫発見)、いずれも数奇な運命をたどって、なお定説がないことを、今日調べていて知った。

個々の作品、作者、本の入手法等については、いずれまた書きたいと思っています。

注-『胡桃園の蒼白き番人』と『猫町』を追加しました(10月17日)。
2010.10.10 下仁田ねぎ
そろそろベッドに入り鮎川哲也の『黒い白鳥』の続きを読もうと1階に降りていったら、愛猫がついて来て窓の前に座っている。。雨降りで外に出してやらないので、出してくれとの心である。心を鬼にして無視。

ここで、前日書いた記事で「深谷ねぎ」と書いたのが勘違いだったことに気づく。どこで頭が腸ねん転を起こしたんだろう。「深谷」じゃなくて「下仁田」の、とんでもないミス。昔、下仁田ねぎを送ってくれたおじさんにも申し訳なく、また2階に上がりパソコンを立ち上げ、前日のミスを訂正しこれを書いている次第。それはそうと、下仁田ねぎってうまいんですよね。薄く切って醤油をかけて食べるのも、辛いの大好き人間にはたまらない。
わざわざ戻ったご褒美か、いつのまにか月下美人が一輪咲いていた。寝て起きればしぼんでいるのだから、ラッキーであった。

10月10日 1時27分記
当ブログ読者の方から、推奨銘柄はいいが、いつ買ったらいいのか?どう売ったらいいのか?
そういうことが分からん、と多少不満そうな感想を人ずてに聞きました。

売り方については、まあ分かるにしても「いつ買ったらいいのか?」という質問には、正直、呆然としました。
しかしよく考えたら、吾輩、株の業界人とは無縁の、エンペラーズ・ジャパニーズ(正統日本語)の使い手を自負していたが、こと株に関しては、知らず知らずのうちに、株の世界の人間の用語、常識に浸かっていた部分があるんではと、反省させられるところがありました。

そこで、そういうことに、お答えしようという次第。まずはその1回目。

買い方について
これはもう、基本的に、すぐに買っていただきたいのであります。
そのため、「推奨銘柄」では、執筆時の株価を日付けとともに入れているわけです。
基本的に、推奨銘柄の公表時間が、立会時間中(東証の場合で9時から15時)を避けているのも、同趣旨からです。

すぐに買うといっても、「寄り付き」買いや「成り行き」買いは怖いという人も多かろうと思います。
もっともなことです。ではどうするか。

10月6日付け推奨株の住軽金でご説明しましょう。
推奨時株価=10月6日終値=95円 です。
10月7日の寄り付きに間に合うとして(毎日1回は当ブログを見ることを忘れずに)、94円~96円くらいで指し値するのが基本です。3円も幅があっては、また迷って困るという贅沢な方もいらっしゃるでしょう。そういう方は、推奨時株価として明記してある95円で。
幅があるのは、前日のNY市場がどうだったか、多少リスクをとっても買いたいか(あるいはその逆か)、寄り前の気配がどうか(例えば96円買い97円売りなのに94円で指値しても買えない公算大)といった外部要因で左右される面があるからです。
とはいえ、仕事の関係で、寄り前の気配など分からん等々、人それぞれ事情がおありでしょうし、腕前もそれぞれでしょう。基本的には、推奨時株価で、もしくはその値段プラスアルファで指し値するのをお勧めします。プラスアルファというのは、確実に買うためですが、アルファは住軽金の場合のような低株価の場合は1円、500円程度の株だったら3円くらいがいいでしょう。

いずれにせよ、銘柄の推奨は、鎌倉雄介が心血を注ぎ、タイミングを計ってやってるわけですから、何日か後で買おうなどというのは、原則ありえない選択です。

昔、私が市場新聞投資顧問の社長として、会員(言うまでもなく有料)の方に銘柄推奨をしていたときのこと。
(多少、もしかして、すごく、自慢話に聞こえるかもしれませんが、お許しあれ)
東京鐵鋼という銘柄を推奨、560円(推奨時株価=1987.11.25)が、3週間後の12月15日には1810円になった。(いや、しかし大昔の話ですなあ。いやはやいやはや、くわばらくわばら)
そうしたら、どういうことが起きたか?
連日朝早くから、投資顧問会社の電話が鳴りっぱなし、社長さん(吾輩ですな)が定時1分前の8時29分頃出社すると、薄暗い社内で、社員さんが電話に出ている、吾輩もおっとり刀で、別の電話を取るというありさま。あ、薄暗いというのは、照明をつけるまもなく電話に出たからと推測されます。
銘柄推奨すれば、あっという間に買いが殺到、小型株だと1割2割簡単に値上がりするという状況。さらには、社内を用もないのに、うろちょろする本社の人間まで現れるありさま。会員からは下仁田ねぎやらなにやら送られてきたり。調子に乗った市場新聞投資顧問は、ファックス会員制度を新設(携帯などない時代)。

言いたいのは自慢ではなく(少しはあるだろー仰せごもっとも)、相場をやる者は、それくらい鵜の目鷹の目で1分1秒を争って情報を早く入手しようとするものだということ。少なくとも、そういうものだという思い込みが小生にはあったので、いつ買ったらいいかといった質問が、当初理解できなかったということなのです。

株脳に知らずなっている自分を反省する鎌倉雄介であった。



全般安の中、住軽金(10.6日付推奨株)が出来高急増(前日比4倍弱)で97円△3円となった。
繰り返し書いてきたように、信用の期日がらみで10月16日頃より反騰本格化とみていたが、16日は土曜、11日は祝日というわけで2日繰り上がるとすると、それでもやや早いが、期日向かいの買いが出て来たと見てよかろう。

円の対ドル相場が、日本の打つ手なしを見透かすかのように急伸している。
やはり、なおしばらくは慎重に、運用額は少なめに、行くところだろう。

10月9日 0時40分記
前日発表の第1四半期決算を好感、戻り高値を更新、6月の推奨時の株価も久しぶりに上回った。利食い損なった方も、ようやく再度利食いチャンス到来となる。

予想以上に値上がりした理由としては、信用買いの整理がかなり進んでいたこと、売り込まれていたため安値圏にあったという株価位置の2つが挙げられる。チャート的には、これで13週移動平均線が上向きになりかかっており、順調に行けば、ここからが、おいしいところ。
2009年5月期、巨額の赤字を計上、業務提携していた新日軽も住生活グループ入りするという誤算に見舞われ、苦難の道を歩む同社だが、ここ一連の合理化策が軌道に乗り、業績回復が鮮明だ。今期の復配も確定的だ。となれば、とりあえず7月高値118円、6月高値122円更新が期待できよう。

住軽金は信用の期日売りが続くので、なお頭重い動きが続くだろうが、出直り基調にあるとみて間違いない。92円以下は買い下がる姿勢で。日軽金が再び高値更新したが、いずれこれも好影響を与えるだろう。

10月7日 23時47分記
6日15時に第1四半期(2010年6-8月期)決算を発表した。

売り上げ59185(56177)
経常利益646(92)
税引利益67(30)

注ー単位100万円。カッコ内は前年同期

前年同期との比較では大幅増益だが、第1四半期の比率が他の期に比べて小さいこと、通期業績予想を変えなかったことから、この数字の判断は、やや難しい。常識的には、多少いい材料と評価されるところか。
PTSでは市場の終値と同値ながらPTSとしては大商いとなり、売り物は薄い。
信用取引の取り組みは、6日現在の日証金買い残で138.9万株で前日比-6.9万株と順調に良くなっている。

電産トーソクも株式分割後取り組みは、空売りの増加でよくなっており、6日現在の貸借倍率は0.13倍と楽しみな数字になっている。

ただ為替は、アメリカが一段の金融緩和に打って出る公算が高まったことを背景に円高が進み、現在1ドル82円90銭台前半となっている。為替介入に対する米欧の反応が厳しいことがはっきりしつつあり、83円台割れだからといって即介入とも行かないようで、円高進行には、一段と警戒して見ていく必要がある。

10月7日 0時32分記
5738住友軽金属工業(東証1部) 93円(10月5日終値)

これまで、何度か言及してきたように、この株の出遅れは歴然だ。
今期予想1株利益は17.4円(利益を経常利益の6かけとみなす鎌倉式実質値で16.1円)、PERは5.3倍(実質値では5.8倍)の低さだ。

同業の日軽金との比較では、その出遅れぶりは、一段と際立つ。本年前半くらいまでは、それでも、それほどでもなかったのが、以降徐々に引き離され、10月5日現在の株価は、住軽金93円、日軽金154円となっている。

2006年以降の、両社のここ数年の年間最高値を比べてみよう。
      
       住軽金    日軽金   住軽金÷日軽金  
2006年  346円   361円    95.8%
2007年  337円   399円    84.5%
2008年  156円   197円    79.2%
2009年  116円   119円    97.5%
2010年  114円   160円    71.3%

細かいことは省くが、この間の両社の業績はというと、相対的関係は大きな変化はない。
そして今期予想1株利益(括弧内は鎌倉式実質値)は
住軽金 17.4円(16.1円)
日軽金 14.7円(15.4円)
となる。株価は前述のように5日現在93円対154円だから住軽金は日軽金の60.4%にしか過ぎない。

どうしてこういう、ある意味、理不尽な株価の関係になっているのか?
まず第一に信用の取り組みがある。住軽金は大幅買い長(買い残が売り残を大幅に上回っている状態)、日軽金は株不足(買い残より売り残の方が多い状態)である。
また1株利益だけを見ると、住軽金が上回るが、勢い、事業の将来性では日軽金に分がある。

しかし、こういうことを考慮しても、現在の株価の関係は行き過ぎだ。日軽金の8~9割程度の株価が妥当だろう。日軽金の最高値160円の8~9割=128円から144円である。

住軽金が年初来高値を付けたのが5月14日、これの6ヵ月期日が11月14日、一般に期日(信用取引では通常6ヵ月以内に反対売買して決済しなくてはならない)ぎりぎりまで引っ張るのではなく、3、4週間前から期日売り一巡を狙った買いの方が優勢になることも珍しくない。こうしたことを考慮して、そろそろ仕込み場と判断するわけである。三協立山の動きからして10月16日前後から出直り本格化ではないかということは、前に書いた。
ここ1ヵ月内の安値が89円、押してもこの辺が限界、95円程度以下をまず仕込み、押したら買い乗せるという戦略で行きたい。

10月6日 0時57分記
2010.10.05 相場の流れ
今日は、午後になって日銀が予想外の大胆な緩和策(日銀は「包括緩和」と称す)を打ち出し、急反発となった。騰落銘柄数も1000をやや超えた。ただ主力株以外は力強さに欠ける動きだった。実際、1部市場以外は、東証2部、JASUDAQ、マザーズ、ヘラクレス、全て値下がり、東証2部にいたっては、連日の年初来安値更新となった。

数年前から、相場は常に主力株対中小型株で対照的な値動きをしてきたように思う。いつからかを言うことはできないが、少なくとも、10年前とか、それ以上前は、全体が大きく上げれば、たいていの銘柄は、それなりに追随したように思う。それが最近は、とみにアンビバレントな動きをするようになっている。

そして現在は、まさに小型株受難のときである。しかし、当然、これがいつまでも続くわけではない。どういう理由でいつ反転するかを、理路整然と説明することは不可能だが、そのときが近いと、私の相場氏師勘が告げているとでも言うしかない。

トゥーリトルトゥーレイトが習い性だった日銀が、果敢な行動に打って出た。その効果のほどはともかく、この積極果断さは、評価されていいかもしれない。中小型株の軟調もここに極まれりと言うレベルまで来ている。NYも高い。と言うわけで、久々に推奨株と行きたい。これは別稿で。

10月5日 23時35分記