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連休で株はお休みでもあり、久しぶりに不動産のことを書いてみよう。
「住まいサーフィン」というのがある。会員数18万人突破!とある。ここでマンション名を登録すると、「みんなの評価」というのが分かる。
私は、この「みんなの評価」的なものを非常に疑っている。というより、益よりむしろ害の方が大きいのではとさえ思っている。
その当否あとりあえずさておき、なぜこういうのが隆盛を極めているのか、お考えになったことがあるだろうか。

私は、これは安上がり、コストがほとんどかからないからと見ている。いわゆる識者に聞いて回答を得てということをするなら、かなりの時間とある程度のお金がかかるだろう。そもそも識者を見つけるのも至難の業だ。
対して「みんな」にやらせればただ同然で簡単に「評価」が出て来る。しかし「みんなの株式」を見れば分かるが、こんなのを当てにしたり信頼しているのは、よほど何も知らない人だけだろう。日経新聞に、毎年、恒例のように載る、学生に人気の企業ランキングというのも、恐ろしい。入社経験のない学生に聞くのが間違っているだろう。ただ聞いているだけなのかもしれないが、あれを見て人気企業が、待遇、働きやすさ、社会的評価等で高評価の企業と思うなら、とんでもない間違いだろう。お菓子メーカー等、子供気分の抜けきらない学生が親しみを感じる企業が、上位に大量にあるのに、私なぞは驚かされる。

さて「住まいサーフィン」である。
ここでは50件までマンションを登録できる。私は35物件(2004年~20017年完成)登録している。私は不動産、特にタワーマンションが、ある意味、趣味で、新規に良さそうな物件が発売されると、その価格が割高か割安かをすぐ分析する癖がついている。ただ、近年は販売価格をなかなか公表しない不動産会社が多く、困ったものである。日本人の隠ぺい体質、ここに極まれりの感がある。その極致が住友不動産であろう。
この登録物件には、「みんなの評価」というのが付けられている。これを見ていて、やっぱりなあと思ったわけである。つまり、この評価と、その後の結果(売り出し価格と現在の価格との比較)
がどうかを見てそう思ったわけである。

みんなの評価の高かったマンション=上位5物件名と評価、値上がり率
①虎ノ門タワーズレジデンス 90.7点 39.7%
②パークコート赤坂ザタワー 89.2点 19.7%
③マスタービューレジデンス 88.6点  2.9%
④プラウドタワー二子玉川  86.0点  34.2%
⑤ライオンズタワー月島   84.6点  49.9%

みんなの評価の低かったマンション=下位5物件名と評価、値上がり率
①二子玉川ライズ        68.3点  36.0%
②芝浦アイランドケープタワー 71.1点  46.6%
③キャピタルマークタワー    71.4点  49.0%
④ザ・コスギタワー        71.7点  44.0%
⑤ブリリアマーレ有明       72.0点  5.2%

中には、私はパンフレット等でしか知らない物件もあるが、多くは実際にも見て知っているわけだが、この評価には、正直唖然とした以上に笑ってしまった。
なぜなら評価の高かった物件は、発売価格(新規分譲時の価格)に比べた現在の価格が、同時期に分譲された大規模タワーマンションに比べ、ほとんどが大きく見劣りする。一方、評価の低かった物件には、逆に発売価格に比べた現在の価格が、他を圧して大きく上げているものがあるからである。

まず評価上位から見てみよう。
①の虎ノ門タワーズレジデンスというのは、端正なフォルムの素晴らしいマンションだったが、何せ価格が高かった。間もなく発売となった赤坂タワーレジデンスに比べ4割前後坪単価は高かったと思うが、現在の価格はむしろ赤坂タワーレジデンスの方が高い。
③のマスタービューレジデンスは、ユーザー評価で100点を付けた人がいたくらい、評価の高かったマンションである。しかし、この物件は池尻大橋から徒歩7分という、都心の駅近物件に比べかなり交通的に劣る物件だったにも関わらず、確か坪単価は、都心の赤坂タワーレジデンス(ほぼ同時期の分譲)並みだった。もともと割高だったところに既存不適格という問題も発生、時価は発売時の価格とほとんど同じである(当時分譲の物件は大半が3割から7割程度上昇している)。

どうして、こうした結果になったかというと、この2物件は、贅の限りを尽くした豪華マンションだったため、その絢爛さに圧倒された人が高評価を与えたのだろう。しかし、マンションの価格は大半が立地で決まる。マスタービューの立地は、ある意味、論外だった。虎の門は、すっきりした街並みではあるが、あまりに取り澄ましたところが受けなかったように思われる。赤坂、月島、人形町など、多少の猥雑さ、庶民性といったものが好まれるような面もあるのである。ただ虎ノ門再開発で虎ノ門タワズーレジデンスも復活の兆しがあるようだ。
④のプラウドタワー二子玉川は好立地の人気マンションだが、売り出し当時、その値段の高さが評判になったくらいで、その分、その後の値上がり率は今一つである(それでもかなり大きいのは2005年12月完成と時期が良かったことが大きい)。

次に評価下位について。
①の二子玉川ライズの不人気には驚かされる。この物件は「マンションコミュニティ」でも、当時バッシングにあっていた。発売時がマンション不況で、当時、かなり売れ行き的には人気で、マスコミにもたびたび取り上げられたこともあり、逆にやっかみも手伝って、そういうことになったのかもしれない。発売時の坪単価は、すでに中古になって売り物件が出ていたプラウドタワー二子玉川よりやや安かったが、時価の坪単価は二子玉川ライズが数%上回る。詳しいことは省くが二子玉川ライズは、発売が2009年(多少怪しい)、完成が2010年5月で、この時期の物件としてはトップクラスの値上がり率になったのでる。
②~⑤の物件も⑤を除き、(分譲時期のためもあるが)発売時に比べ時価は大幅に値上がりしている。

以上の物件以外でも、THE TOKYO TOWERSは評価が77.1点だが、時価は発売時の50.9%高という。この物件も坪単価の安さに驚いた記憶があるが「住まいサーフィン」の「コストパフォーマンス」評価は決して高くない。

結局、こうした「みんな」の評価は、まったく当てにならないどころか、むしろ正反対のことも多いという、なんともはやの結果である。
マンションの専門家というか、そういうたぐいの方が存在する。しかし、そういう方たちの評価も当てにならない。
ブリリアタワーズ目黒という大規模物件がある。目黒駅前という稀有な好立地に立つわけだが、専門家も素人(「マンションコミュニティ」のコメント等)も超割高の大合唱だった。しかし940戸の大規模物件にも関わらず、ほとんど一瞬に完売となった(2015年7月~8月)。

考えてみれば、株でも同じだが、悪く言って自分は安く買おうという、いやな人もいるわけで、そういうことも影響しているのかもしれない。しかし、専門家まで、ブリリアタワーズ目黒割高説がほとんどだったのだから、困ったものである。

いずれにせよ、皆さんがマンションを買おうという場合、立地が9割がた、価値を決めるということを、しっかり頭に入れておくことが重要である。それも人口減の中、少し前の好立地が今や好立地でなくなっているケースが多々あることに留意しよう。40年前くらいは、山手線の内側になど売り物件はほとんどなかった。だから大泉学園や成増、調布、登戸といった都心を離れた郊外でも好立地と言えた。しかし、今や事態は急変、人も羨むような、ちょっと手が出ないようなところを選ばないと、先行き危ない(下落リスク大)と覚悟すべきだ。
青山、麻布、赤坂(3A)のほか、品川、目黒、渋谷・恵比寿、高輪・白金、番町・麹町あたりが文句のない一等地だろうが、そこまでは無理でも、せめてそれに準ずる(日本橋、大崎、上野、三軒茶屋、下北沢等)所を狙いたい。

知らず知らずのうちに投資物件的な選択の話になってしまった。
投資を考えている方は、これでいい。
自分の家を考えている方は、まったく無縁の話かというと、そうではない。先が見えない、恐ろしい現代日本に住んでいる以上、住宅の選択が一生を大きく左右しかねない以上、いかに好立地の物件を選ぶかは、非常に重要で、上記の話は大いに役立つはずである。
予算の範囲内でという制約はあるにせよ、その中で、精いっぱい頑張ることが重要なのである。つまりせめて3Lは、とか贅沢は言わず、専有面積はある程度狭めてもいい立地の物件にすべしということである。予算内では好立地の物件が無理な場合は、中古物件も検討してみよう。

3月20日 21時26分記

追記=上記の文章(一般論を書いたと理解されたい)を読まれて、早速マンションを買おうというような方がいらっしゃると、やや困るので一言。
現在、都心一等地やそれに準ずる立地のマンションは、価格がやや弱含み傾向にある。ほぼ株価に連動していると言っても大過はないだろう。そして今後の見通しも暗いとは言えないまでも明るくはない。株価がかなり上昇するようなら、今の緩やかな下落に歯止めがかかり、多少は反転上昇するか、といったところだろう。
よって、今は買い時期とは言いにくい。よほど、好立地で割安な物件以外は、軽軽に手を出す時期ではないだろう。
ただ、マイナス金利政策で、お金を銀行等に預けてもほとんどお金を生まない時代である。中古の好立地物件で利回り(管理費・修繕積立金は家賃から引いて計算)が6%以上というようなものは、資金の運用にお困りの方なら買う価値が十分あろう。 (3.21日 13時36分記)









第1講で、サラリーマンは早く家を買うべし、という話をした。

第2講では、それでは買う家は、新築がいいか中古がいいか、はたまたマンションがいいか一戸建てがいいかについて、考えてみよう。

これは個人個人好みがあるわけだが、ここで考察するのは、あくまで資産価値という観点からである。

A 新築と中古の比較
新築の場合、経年劣化、つまり古くなることにより年々資産価値がダウンするという大きな問題がある。

1戸建ての場合、一昔前までは築10年~15年で、資産価値ゼロ(通常の物件の場合)という評価だった(私の判断)。
それが近年は、住宅の質向上にともない築15年~20年で資産価値ゼロ(同上)という評価でいいだろう(同上)。

マンションの場合、これは以前書いたように、都心マンションではマンション価格に占める建物の分が30%程度と低いので、あまり重要視しなくてよい。
こういうことについて論じているのを見たことがないので、私も断言する自信はないが、ざっと50年もつ(これは、50年でつかえなくなるという意味ではなく、かなり老朽化が進み修繕積立金も高額になり、建物自体の資産価値がほとんどなくなるであろうという意味)とみて、50年で資産価値ゼロ。ただし、最近の大規模タワーマンションなどは100年コンクリートを使用、内廊下になっていることもあり、この場合70年くらいとみるのが適当だろう。

以上を踏まえ、新築を買うべきか中古を買うべきかを考察してみよう。

この判断は,1戸建てとマンションでは、まったく違うので分けて考えよう。

1戸建ては中古を買うべし

前述のように、新築1戸建てを買うと、その建物の価値は15年~20年でゼロになる。1年当たり5%~6.7%弱,価値がダウンするということである。以下では6%で話を進める。
サラリーマンが若いうちに買うという前提で考え、購入価格3000万円としよう。建物価格は1200万円前後とみるのが妥当だろう。これが年率6%=72万円ずつ減価するわけだ。
一方中古住宅の場合、築15年~20年以上の物件を買えば、建物価格ゼロだから、減価はしないということだ。
結局、購入17年経過くらいで,土地価格を一定とすると、それぞれの資産価値は
新築1戸建て=1800万円
中古1戸建て=3000万円
ということになるわけである。
中古を買うべしというわけが,よくお分かりいただけただろう。もちろん、築5年とか築10年とかの物件なら、新築と中古の中間になるわけだ。
中古で、家がぼろぼろ、住めるようにするのに数百万円かかるというのでは、話が違ってくる。築10年以上で、建物がしっかりしているものを選ぶのが賢い選択と言える。築15年以上ともなると、元の建築費用がどうだったかは、ほとんど関係なく、建物価格は、ほとんどゼロ評価の販売価格になっているので、そういう、比較的高級仕様の中古物件が狙い目なのである。

マンションは新築、中古どちらでも良い

マンションの場合、3000万円の予算でも、専有面積を狭くすれば都心物件を買える。この場合、建物分の価格は30%の900万円。これが50年(大規模タワーマンションで70年)で資産価値ゼロになるのだから、1年当たり2%(1.4%強)の減価、金額にして18万円(12.9万円)に過ぎない。さらに減価を無くするには築50年以上の物件にしなければならないので、現実的でない。というわけで、マンションの場合、新築、中古、どちらが際立って有利ということはなく、どちらでもいいという結論になる。

以上をまとめると、資産価値的には、中古1戸建て(建物価格がゼロないし、それに近いもの)が一番有利ということになる。ついでマンション(新築、中古を問わず)。新築1戸建てが最も不利ということになる。
ただ、予算が3000万円程度と比較的低額の場合、中古1戸建ての立地は都心とはいかず、郊外、それも新宿、渋谷等のターミナル駅から電車に20分以上、普通は25分以上乗る所になろう。となると、人口減が今後も続く日本においては、将来の地価が値下がりする恐れがある。そうはならなくとも、都心よりは悪い値動きになるのは確定的である(現時点での私の読み)。

結論

というわけで、結局、資産価値的には、むしろ都心マンション(新築、中古を問わず)が一番いいであろう。さらにいいことは、3000万円前後の中古1戸建てで、通勤にも問題のない物件を選ぶのは至難の業だが、これに対し、マンションなら選択の幅が広がり、選びやすい。この点も考慮するなら、迷うことなく、マンションがいいということになる。
最近『サラリーマンは家を買うな』という本が出た。
サラリーマンになったら即刻家を買うべしというのが持論の私は、そんな馬鹿なと思いつつ、見出しを見たり著者の経歴等見たら、まんざら、とんでもない話ではないようだとの結論になったが(この本そのものは見てないので悪しからず)、しかし、わざわざ賃貸に住んで、資産運用をあれこれ考える(こういうことを著者は薦めているようだ)のも、普通のサラリーマンには、七面倒くさいだろう。

というわけで、私が、サラリーマンに最も適した家の買い方、資産運用について、ノウハウを公開しようと思う。
株以外興味なしという方は、無視くだされ。

第1講 賃貸と持ち家の損得勘定

「賃貸」と「持ち家」、どちらが得か?というのは、古くは『住宅情報』、いまは『SUUMO』の定番企画だ。大体結論も決まっている。一長一短とか、それぞれのライフスタイル次第とかで、適当にお茶を濁すわけだ。
しかし、実は、そんなことはない。絶対「持ち家」が得である。もちろん、これは、現在の諸諸の状況においてである。

この根拠について、以下説明しよう。

3000万円のマンション(新築・分譲価格)で考えてみよう。
①賃貸の場合=今都区内の新築分譲マンションの運用利回りは6%程度(管理費、固定資産税等は別途家主が負担として計算)なので、この3000万円のマンションを借りると
家賃は年間180万円(月額15万円)。
②購入の場合=話を分かりやすくするため全額ローンで購入するとする。返済額は年間約101万円(現在は変動の場合金利優遇が常態化、年利0.975%が一般的なので、これで計算、35年ローン・変動金利)、管理費・修繕積立金等が年間約20万円、固定資産税等が年間約15万円、合計して
返済額等は年間136万円(月額11.33万円余)

この試算で分かることは、年間で考えると、賃貸は180万円、購入(=持ち家)の場合136万円なので、持ち家の方が、年間44万円も得だということである。
もちろん、難癖を付けようとする人は、マンションを買う場合、登記費用等の諸経費がかかる、修繕積み立て基金もとられる・・・・などと言うだろう。しかし、賃貸のばあい、敷金(最近はほとんど退去時に戻るが)、礼金がかかる、1回分余分な引越し費用がかかることを考えれば、ほとんど無視していいだろう。

そして、そういう瑣末なことより、家賃は、ただ消えて行くだけだが、ローンの返済は、金利分以外は借金が減っていくのに充てられるというのが、重要だ。つまり年間返済額は136万円でも実質の負担は金利分、3000万円×0.00975=29.25万円に過ぎないのだ。
結局、実質負担は前記の修繕積立金等20万円と固定資産税等15万円とあわせ年間64.25万円にすぎない。
そしてローン完済後には、無借金のマンションが手元に残る。この築35年のマンションの資産価値が、なかなかのものだということは、すでに書いたとおり(10.20「中古マンションはただになるのか?」)。

以上でもういいはずで、サントリーウイスキーではないが「何も足さない何も引かない」と言いたいところだが、どうしても納得できない方が出てくるのは必定なので、多少補足説明。

ローンを変動金利、35年返済にしたことについて
変動は危険だ、固定にすべきだ(少なくとも固定も併用せよ)、これはずうっとファイナンシャルプランナーといった人たちが言い続けてきたことだ。しかし、私は10年くらい前から相談されるたび絶対変動(固定に比べ金利が圧倒的に低い)を選びなさいとアドバイスしてきた。そのわけは,日本経済の状況を見るに、金利が大きく上昇する可能性は限りなく小さいと読んでいたからである。これは今後数年先まで見ても同じだ。また、金利が上昇に転じたとしても、昔と違って今は、固定への乗り換えも簡単という事情の違いもある。
35年返済は、便宜上そうしたまでで、その人の事情で返済期間は選べばいい。もちろん100%ローンにしたのも話を分かりやすくするためで、現実には頭金が原則、必要で、2割なり入れられるならベターである。

注ーローン返済額を月額で考えるのが世の常識だが、これは愚の骨頂。サラリーマンならボーナスもある。また固定資産税とか旅行、大物電化製品の購入等不時の出費もある。年額で考えるべしというのが、鎌倉理論だ。
年返済額の算出法= ローン額×0.0337342(年利0.975%の場合)
100万円借りて年間返済額は3.37342万円。算数弱い人は3.4万円と覚えよう。
マンションを買おうという人は、円周率は忘れても、この3.37342は忘れないようにしよう。


荻原博子氏が『週刊文春』(10月14日号)に、1000万円、利回り10パーセントといった中古マンションを30年ローン(金利4パーセント)で買うと、30年後、マンションの価値はゼロになり、とんでもないことになるから、おやめなさいといった趣旨のことを書かれていた。

荻原氏とか森永卓郎氏とかには、私は親しみを感じていて、悪く言いたくないのだが、上記の荻原氏の主張は、大きな誤りなので、黙っていられず、取り上げる次第。鎌倉雄介は、株式投資と同等以上に、不動産の目利きを任じておるのだ。

荻原氏の論旨の根拠や前提について、一つ一つを取り上げることは、ここではしない。一番大きな、根本的な間違いについてのみ論じることとする。それは、マンションの資産価値は建築後40年とか50年したら、荻原氏の言うようにゼロになるのか?ということである。
実は、私も20代の終わり頃、小さな中古マンションを買った経験を持つが、その頃は今にして思えば、まったく物を知らず、かつ誰も教えてくれなかったから、漠然と、築25年くらいになるまでには売らないとやばい(ほとんど資産価値がなくなるかも)と思っていた。それから幾星霜、私の知識も増え、今や、株同様、独自の理論を構築、マンションは建築後何年たっても、かなりの資産価値を有することを断言できる。目からうろこの卓見なのだが、単純明快な理論なので分かるとみんな、なあんだと言う。しかし、これを、自分の頭で考え出せるかどうかということなのである。後で感動が薄れないように、あらかじめお断りしておこう。ははは。

新築マンションについて、まず考えてみよう。分かりやすく分譲価格1億円としよう。
この1億円は、土地の分と建物の分に分けられる。
この内訳が、どうか?これは都心の物件と郊外やリゾート地の物件では大きく異なる。
資産運用し利益をあげようという前提で考えると、人口減の日本では都心物件を選ぶべきは言うまでもない。そこで都心物件で考える。

この場合、
土地分=7000万円
建物分=3000万円
くらいになっている。
こう書くと、異論や疑問を呈される方も多かろうが、実はこの比率は、私が、契約書等で実際の内訳を知っている物件をもとに、算出したもので、アバウトな感覚を書いているわけではない。昔は、この内訳は分かりにくかったが、消費税導入後、売買代金とともに「売買代金に含まれる消費税相当額」が明記されているから、これから建物分の価格が計算できるわけだ(一番最近見たものでは「土地の代金」、「建物の代金」と明記されていた)。
つまり上記1億円の物件で「消費税相当額」が150万円となっていたら、この20倍=3000万円が建物分というわけだ。消費税は言うまでもなく5パーセントで、これは土地にはかからず、建物にだけかかるから、そういうことになる。

これが40年、50年後どうなるか?
地価は、堅実にみて横ばいとして土地分は7000万円のまま、
建物は、これも堅実にみて価値ゼロになるとして建物分ゼロ(取り壊し費用がなどと言う方もあろうが、マンション全体ではなく自分の分だけだから、せいぜい数百万円以下だから、とりあえず無視、と言うより実際はタワーマンションなど大規模な高級物件なら、残存価値は取り壊し費用を大きく上回ろう)。
結局、この分譲価格1億円のマンションは、40年後、堅実にみても7000万円程度の資産価値があるということことが分かる。
つまり、都心の、そこそこの物件(あるいは都心に匹敵する坪単価の物件)さえ選べば、40年、50年後でも、購入価格の70パーセント程度の価値は残るということなのである。もちろん、人気の物件を比較的安く手に入れることができれば100パーセント以上で売れることも十分ありうる。
中古マンション、戸建て(新築、中古)も、基本的に同じである。


ここまで読んでくれて、なお納得されぬ方は、よもやいらっしゃらないだろうが、私の分析の正しさを裏付ける一助となる例を一つだけ挙げておこう。
三井不動産分譲の三田綱町パーク・マンション(日本初の高層物件)である。1971年分譲だから築39年だが、現在も、かなりの高額で取引されている人気物件である。分譲価格を、残念ながら知らないので確かなことは言えないが、現在価格がそれを大きく上回っていることは疑いの余地がない(これはもちろん、この39年で三田綱町の地価が大きく上昇したからである)。興味のある方は、このマンションの価格を調べられたい。

なお現在、山中湖とか越後湯沢とかの中古マンションで、150万円とか、場合によってはもっと安い物件が売られている。これは土地価格が異常に安くなっている、管理費・修繕積立金が高く(リゾートマンション、特に昔のは温泉施設を備えているなどのためもあって、これが高いのが一般的である)負担に耐えられないオーナーがたたき売る等のためで、極端な話、ただでも貰い手がない物件さえ発生しているのだ。ただとか超低価格では仲介業者も旨みがないので扱ってくれず、こうした物件は市場にも出ずゴースト化しかねない。地方の不動産市場は崩壊状態のところも多く、都心や首都圏とは事情がまったく違うのである。荻原氏の論も、こういう物件では当てはまる。

追記=後でネットで調べたら
三田綱町パーク・マンション、126.99㎡、3階、北西角という物件が売りに出ていた。
1971年4月築だから、現在の表示でいくと築40年。一体いくらで出ているか?

99パーセント以上の人が、とんでもない答を言うだろう。
答=15500万円(1550万円の誤植ではありませぬ)